法律のいろは

借りている土地の賃借権を他の誰かに譲り渡した場合や誰かに利用させた場合の問題点とは?

2016年1月29日 更新 

 土地を他の人から借りて,そのうえに家を建てている場合は,親族の土地の上に家を建てさせてもらっている場合が多いと思われますが,そうとばかりとも言えません。そうした場合に,こうした土地を借りる権利を家とともに第3者に譲り渡した場合の不都合などについて触れてみたいと思います。

 結論から言えば,法律上,借りる権利(賃借権)を貸主の承諾なく勝手に譲り渡すことは禁止されており,契約解除を貸主からされるリスクがあります。契約条項で,定められている場合もあると思われます。信頼関係が破壊されているとして裁判で争った場合にも退去の請求(解除後の退去請求)が認められる可能性が出てきます。同じことは,貸主の承諾なく他の方に賃借する(転貸借を行う)・利用させる場合にも当てはまります。

 となると,事前に承諾を得ておけば問題がなくなりますので,そうした方法を予めとっておくのが安全という事になります。しかし,うっかりと承諾は要らないだろうと思い,貸主の承諾なく譲渡してしまった場合もありうるところです。こうした場合は全て契約の解除がやむをえないということになるのでしょうか?

 勝手な譲渡が禁止されているのは,使うことを許容されているのが誰であるかが使用態様などにも影響することから,継続的な契約である賃貸借等の契約では重要と考えられているためです。信頼関係が維持されているのか(破壊されたといえるのか)に関わる要素になります(ここは転貸借にも当てはまります)。そのため,その方が引き続き使うような場合は問題がないことになります。担保に入れるために建物を第3者に譲ったものの,引き続き使っている場合がこう言った場合に当てはまります。また,相続やそれとほぼ同様に言える場合は,法律上予定された引継ぎにあたる事柄であるので,当てはまらないと考えられます。

 実際に,どういった場合が相続とほぼ同様に言えるのかは裁判例上定まっていない点はあります。ただし,相続人でもない全くの他人に遺言で贈与することは,生前の贈与と同じく見知らぬ第3者に本人の意向で渡すために,該当しない可能性が高くなります。

 また,離婚の際に,住むところがないからといって,家とともに土地を使う権利も渡してしまうという財産分与も,同様な可能性があります。ただし,こうした財産分与については,裁判例上,契約の解除を認めるほどの事情ではないという裁判例も存在はしています。裁判例の結論から見ると,はっきりと定まっていない点がありますので,後々のリスクを避けるのであれば,可能であれば予め貸主の承諾をとっておくことが必要なように思われます。

 

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