法律のいろは

自営業や同族企業での財産分与の問題

2016年2月5日 更新 

 自営業や同族企業を営む夫婦の離婚問題で大きな問題となりうる要素の一つに財産分与の問題があるのではないかと思われます。それは,夫婦が①から築き上げた場合の話もあれば,夫婦のどちらかの稼業などを引き継いだ場合も考えられるところです。

 いずれも,問題となっている財産が財産分与の対象になるのかどうかという問題・財産分与の対象になるにしても,半分ずつの清算なのかどうかという問題が出てくると思われます。前者については,以前少し触れたことがあります。夫婦で営む自営業の場合には,夫婦の共同事業であれば,夫婦どちらも協力して得られた財産であるはずですから,財産分与の対象にはなりうる場合が十分にあります。

 この場合に,半分ずつお互いが貢献したから半分ずつで清算するかどうかは別の問題ですが,この辺は家事も含めた貢献の状況等も十分加味されうるところです。半分ずつではないというのであれば,夫婦の一方が全く協力していないといえるだけの事情あるいは一方の特別な才能や努力によって築かれた財産であることを示す必要があります。共同事業の場合に実際にどうなのかは,ケースバイケースではありますが,自分で思っているほど第3者的には自分の貢献のが大半とは考えられないこともあるのには注意が必要でしょう。

 このことは法人なりなどで会社形態をとっていた場合の会社名義の財産についても言えるところです。会社の財産で有れば,夫婦共同財産ではないことになるのが原則ですが,実際に夫婦の共同事業を法人名義にしているに過ぎない場合には,先ほど述べたことと同じことが当てはまります。

 これに対して,親から引き継いだ財産を用いて商売をしている場合にはどうなるのでしょうか?親の財産を贈与を受けた・相続した場合には,特有財産として財産分与の対象にはならないはずです。もちろん,普通預金で夫婦で築いた財産と混じって区別ができない場合には,全てが夫婦共有財産とされる可能性は十分にあるところです。

 この場合も,商売をするにあたり,相続などしていない方の配偶者の協力があって,財産の価値が下がらなかった・収益を上げた等の事情があれば,貢献の割合は均等でないにはしても,なにがしかの財産分与の可能性は出てくるところではあります。当然に財産分与の対象になるわけではありませんが,こうした点への注意は必要なように思われます。

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