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認知症と介護者の責任について(監督者の責任の範囲)の裁判例(その④)

2016年3月5日 更新 

 数日前に最高裁で判断の出された認知症にり患した方の事故に関する親族への賠償請求に関して,これまで数日触れてきました。前回は,監督義務者に親族が当たらない場合でも,具体的な状況によっては監督義務を引き受けたという評価のもと,監督義務者と同視される場合があるという話をしました。今回はその続きです。

 前回,いくつかの要素をあげた上で,全体としての事情を見た上で衡平の観点から監督義務者と同視するのかどうかが判断基準として挙げられているという話をしました。最高裁の判断では,亡くなった認知症にり患した方の家族に関して,こうした事情があるか・衡平の観点から監督義務者と同視できるかを検討しています。ちなみに,その中で,監督義務を尽くしたのかどうかという問題で考えるのかどうかという違いが裁判官の間で判断が分かれた模様です。

 判断では,同居をしていた妻について,認知症と数年前に診断された亡くなった方の介護を行う等の事情はあったものの,妻自身が高齢であり,介護を必要としていた点,他の親族の補助を受けて亡くなった方の介護をしていた点を挙げています。こうした点から,亡くなった方が第3者に対して問題行動に出ることの防止を現実的に監督できる状況ではなかったとして,監督義務を引き受けたとは言えないと判断しています。

 また,遠方に生活していた長男については,長く遠方に住み同居をしていないこと・亡くなった方の元を訪れる頻度も少なかったことをあげて,妻と同様に第3者への問題行動の防止を現実的に監督することができなかったとして,監督義務を引き受けたは言えないと判断しています。

 このことは,認知症の方に問題行動(特に徘徊などが頻繁にあること)が大きいことを認識しつつ,同居でして介護を行う等の事情から,現実的に監督が期待できたという事情があれば,監督義務を引き受けたのと同視される場合がありうることも意味していると思われます。老々介護といわれるような,介護側に大きな制約がある場合には,先ほどの妻と同様に考える点はあろうかと考えられますが,今回の判断で家族が責任を負うことは極めてまれとまではいえないような印象があります。

 もちろん,簡単に責任が認められるわけではありませんが,在宅介護を行う際の様々注意点もあるかもしれません。

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