法律のいろは

財産が少ないほどに将来揉める可能性は少ないのでしょうか?

2016年3月29日 更新 

 ここ数年相続対策という事で,相続税に関するニュースや特集はよく組まれています。毎年何度か相続関係の記事(多くは相続税や贈与税など税金の問題)を見かけたことはあるかもしれません。紛争が起きるのは,お金に目がくらむ可能性も高い財産が多い場合なのでしょうか?

 結論から言えば,財産が少なくても十分に揉める可能性はあります。筆者の主観では,ほぼ全く財産がない場合には問題は少ないと思われますが,ある程度の財産(街中などの自宅土地建物等)がある場合には財産が多いよりも少ない場合の方が後で揉める可能性は多いでしょう。統計上も財産が多いよりもある程度の財産のボリュームある層での紛争が多いとの記載があったように記憶しています。

 

 その根拠の一つとして考えられるのが,生前の税金対策を考える際には,紛争リスクへの対応も同時に考え遺言を作成する可能性が出てくるというものです。裏を返せば,対策の必要性を感じていない以上は,紛争の種が後に取り残されかねないという点です。遺言による意思の尊重(遺留分が限界)となっていますので,生前対策を含めて講じていれば,紛争のリスクは可能な限り抑えられます(個別の事情によってはそうはならないこともありえます)。特に,以前このコラムでも触れたような,それなりの価値のある自宅に子供の1人が同居をしていて,他には特に財産がないような場合には顕著と思われます。

 たとえば,亡くなった方の遺産が自宅土地建物だけで,その評価が固定資産税でも2000万円程度して比較的街中に存在したとします。この場合には,一緒に住んでいた子供にとっては家を確保することは生活の場の確保に直結します。これに対し,住んでいない子供でかつ兄弟姉妹の中があまりよくなければ,自らの相続分による取り分の確保が大きな目的となりかねません。

 このケースでは,自宅土地建物の評価をどうするのか,住んでいる方が確保するとして,兄弟姉妹に渡す代償となるお金はどうやって確保するのか等様々な問題点が出てきかねません。家を確保する側にとっては支払うお金は少なくしたいですし,もらう側は多くしたいという利害の対立です。売買をするのであれば金額は大きければいいという点で争いはないでしょうから,この対立は大きなものになる可能性があります。

 こうした例を見るまでもなく,自分にとって全く相続の問題とか関係がないとは単純にいえないところがあります。もちろん,亡くなった方に大きな借金があった場合には,相続放棄をするかどうかという大きな問題が出てきますので,マイナスの財産があ場合にも相続の問題は出てくると考えられます。

 あくまでも,税金の問題が相続の問題ではなく,問題の種はあちこちにあるかもしれない点へのアンテナを張っておきたいものですね。

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