法律のいろは

婚約の不当破棄と不倫(不貞)の慰藉料請求を双方認めたケース

2016年5月2日 更新 

 不倫・不貞行為をする中で,配偶者とは別れて再婚をするからという事で関係が継続したというケースはそれなりにあるかと思われます。今回は,そうした点が争点となり,関係継続が婚約といえるのか・その破棄が慰謝料を認めることになるうのか・配偶者からの慰藉料請求との関係,が問題になった裁判例を紹介します。

 

 問題となったケースは,ネット上のお見合いサービスを通じて交際するようになった男女が,男性側の妻に交際が発覚した後も関係を継続し,後に男性側から別れを告げられたというものです。争点は,

 ①関係開始や継続の際に,離婚と再婚の意思があるという話等の事実関係なされていたかどうか⇒婚約と評価できる関係にあったかどうか

 ②交際の継続は不倫(不貞)となるけれども,その関係を不当に破棄されたことを理由に慰謝料等の請求が認められるのか

 ③配偶者からの慰謝料請求と時効の関係

 が主なものです。他にも争点はありますが,単純化のために省略いたします。

 

 こうした争点について,裁判所は,①に関して,当初から結婚をする・交際発覚後も離婚をして再婚をすることを女性側に話をしている等の言動から婚約が成立していたことを認めています。

 次に②については,これは,交際の継続が不貞関係の継続につながり,慰謝料が発生するべきものであるために,問題となるものです。言い換えれば,慰謝料が生じるような関係が法律の保護に値するのかというもので,保護に値しないという事であれば,交際の不当破棄によって慰謝料を発生することに問題が出てきます。

 このような問題状況で,裁判所は結論として,慰謝料が発生すると判断しています。先ほどの問題点は男性の配偶者との関係では不法行為にはなるけれども,交際継続に関する男性側の言動の違法性が強いという判断から,なお法律の保護に値するためと述べています。

 

 最期に③については,不倫・不貞に関する慰謝料個別的に発生するため,最初発覚したころのものについては時効にかかる旨述べています。ここでは,男性側から女性が聞かされていたもうすぐ離婚する等の言動から,婚姻関係が破綻していたと女性が認識していて,破綻していないとは認識できなかったかどうかも問題となっています。この点は,女性が破綻していないと認識していたと判断がなされ,慰謝料が一部認められています。

 

 婚約の不当破棄について,この裁判例の判断をふまえると,しいて男性側から欺く言動がなければ簡単に別れたからといって,女性側から男性側に慰藉料請求が当然にはできないということになろうかと思われます。実際はケースバイケースですので,疑問がある場合には弁護士に相談するのも一つの方法でしょう。

 

 

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