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「花押」のある遺言が無効と判断されたケース

2016年6月4日 更新 

 先日,自分で書いた遺言(自筆証書遺言)の効力などが争われたケースで,「花押」があるものの印章がない(押印がない)遺言が無効という最高裁の判断が出ました。今日はその紹介などをしたいと思います。

 

 裁判例に載っている事実関係によると,家の家督及び財産を相続人の中の一部の方に相続させる,という遺言の効力などが問題となったもののようです。ここでは,最高裁でも取り上げられた「花押」が印鑑による押印と同じように考えられるのかどうかという点のみ触れたいと思います。

 

 遺産の配分に大きな問題が出るために,遺言の効力が問題になることはあり得ます。その際に遺言無効確認訴訟を起こす必要があるという話は依然触れました。このケースでも遺言の内容の履行とともに遺言の有効性も争われた模様です。

 

 自分で書いた遺言(自筆証書遺言)は様々な形式面の要件を満たさないと法律上無効になってしまいます。自署したものであるかどうか・印象による押印があるのかどうかなどで,このうち,印象による押印があるのかどうかがこのケースでは争われています。

 

 第1審と第2審,最高裁では全く逆の結論が出ていますが,考えの原点に立つ,印象を要求される理由については以前に最高裁の判断があります。それは,指印での押印が印象による押印と同等に考えられるのかどうかが争点となったものです。このケースでは,印象による押印を必要とした理由として

 ①遺言者の同一性と真意を確保する

 ②遺言のような重要な文書には署名の上や下に押印をするのが,文書の完成を担保することが日本の法意識と慣行上言える

点を挙げています。

 そして,指印でもここでいう①と②を満たすことができることを理由に,遺言が有効であると判断しています。

 

 今回問題となった「花押」について,第1審では,遺言者の同一性や真意の確保は「花押」であってもすることができる点などを挙げて,印象による押印と同等に考えることができると判断しています。

 

 これに対して,最高裁では,日本の法意識や慣行で,印象による押印の代わりに「花押」を使うことが一般的とは考え難いことなどを理由に,印象による押印とは同等には考えられないと判断しています。そのために,法律の要求する点を満たさないから無効ということになります。

 

 「花押」については署名が図案化したという面があり,歴史上の人物が用いていたのを史料で確認することはできます。おそらくは,日常生活で実印など印鑑を用いることは一般的だけれども,現在では「花押」という形をとる方がそんなにはいない点が考慮されているものと思われます。

 

 やや特殊なケースと思われますが,リスクと費用の双方を考えつつ,どのような遺言の形がいいのかは考えていきたいところですね。

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