法律のいろは

愛着のあるもの(ペットを含む)を壊すなどされた場合に,慰謝料を請求できるのでしょうか?

2016年6月15日 更新 

 交通事故で愛用している車に損傷がいった・長年利用している愛着を持っている荷物が壊された・可愛がっていたペットが死んでしまった場合など,損害賠償の際に,修理費などのほかに慰謝料を請求したいという気持ちが怒ることはあるのではないでしょうか?ペットを他のモノと同じように考えるのはおかしいという考えもあるでしょうが,法律上は物の扱いになりますので,ここで触れていきたいと思います。

 結論から言えば,交通事故のケースが典型的なものですが,原則としてこうした慰謝料請求は認められないと考えられています。壊れたモノを考えていただくと想定しやすいのですが,そのものの価格を賠償すればもう損害はないのではないかという考えに基づくものです。

 これに対し,自分の愛用する気持ちを大きく傷つけられたのに,という考えは出てくるところと思われます。先ほど挙げた交通事故に関する裁判例でも,「特別な愛着を持っていると認められる場合」「加害者が害意をもって精神的に被害者にダメージを与えようとした」などの特別な事情があると言えれば,例外的に慰謝料が発生すると述べています。

 先ほどのうち,前半はそのモノが持っている意味,後者は加害者側の態度に関する事情になります。これだけに限りませんが,代表的な場合とは言えるでしょう。前者については,ペットの場合が代表的なものといえるでしょう。実際に裁判例の中には,こうしたケースについては慰謝料を認めたものが多く存在します。交通事故で車が壊れた場合とは異なるところがあるように思われます。

 また,ペット以外でも,たとえば,特別な形見のモノと認められる事情が存在すれば,慰謝料が認められるケースも存在します。比較的最近の裁判例の中にも,祖母が昔買ってきた鏡を形見として長年利用してきたものの,業者のミスで壊されてしまったというケースについて,慰謝料を認めたものがあります。

 

 こうしたケースでは,そのモノ自体はお金に評価すると価値がなくなるか同等低くなる傾向があります。当然ながら,モノは古くなれば相当な事情がない限り価値が下がるためです。それとは別に慰謝料が認められることもあるということになります。

 

 後者の加害者側の態度については,当然のことですが,ご自身にとって気に入らない・おかしいというだけでは,該当するものではありません。一般的に見てどうなのかが問題になります。また,害意をもって行う等相当に限定されている点にも注意が必要なように思われます。

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