法律のいろは

婚姻費用や養育費を支払ってもらってない分があるのに,相手が破産した場合,これらはどうなるのでしょうか?

2016年7月6日 更新 

 婚姻費用や養育費の支払いが遅れる・支払われない場合には,相手方が支払う気がない・支払えない状況に追い込まれている等原因は様々考えられます。いずれの場合も,回収をどうするか考えないといけません。回収には差し押さえなどの手続きも存在しますが,こうした手続きをとるには,公正証書や調停調書等の書類が必要となります。

 

 また,差し押さえなどをしようにも,その対象となる財産(預金や給料等)がないと,先ほどの書類も「絵に描いた餅」の状況になってしまいかねません。相手の支払う気がない場合には,対象となる財産を探す難しさが現在の制度ではあります。相手が負債などで支払えない場合には,差し押さえが競合してしまう場合もあるかもしれません。弁護士に依頼して破産などの債務整理に至った場合に,こうした未払いのお金がどうなるのかも気になるところです。

 

 支払いをするべき側からすると,破産の申し立てをすると,負債の支払いを逃れられるという意識があるかもしれませんが,そう簡単ではありません。法律上,支払い義務が残るものもありますし,一定の場合には支払い義務からそもそも逃れられないこともあり得ます。

 

 既に別のコラムでも触れているところですが,婚姻費用や養育費の支払いは,仮に自己破産の申し立てをして免責許可決定(裁判所から負債の支払い義務を免除されるもの)が出ても,逃れられません。とはいっても,破産手続きを経た場合には,財産がかなり少ないことが多いでしょうから,現実的に見て回収に問題が出てくる場合があります。破産の申立準備に入り,他の負債の支払いが止まっている場合であっても,そもそも給料や財産がない場合には,現実的な回収の問題は大きくなりかねません。

 

 破産手続きを経ても,法律上の支払い義務が残ったとしても,実際の回収をどのように図るかは極めて大きな問題と思われます。回収の対象となる給与等がどこにあるのかがわかるのかなど回収をしたい側からすれば,考えていかない点がある点には注意が必要でしょう。未払いの婚姻費用や養育費に関しても,時効によって請求ができなくなりかねない場合もありますので,猶更いえるところです。

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