法律のいろは

婚姻費用分担調停と未払い・既払い婚姻費用の注意点

2016年9月25日 更新 

 夫婦が別居をしている際に,収入の少ない方(多くは妻であるケースと思われます)から,家庭裁判所に調停が申し立てられることがあります。その際には,夫婦の間で(代理人をつけている以内に関係なく),調停委員を間に挟み話し合いを進めていきます。

 

 話し合いがつく・裁判官の判断に至るというまでには,申立からそれなりに時間がかかります。金額などの対立が大きければ,その時間は無視できないものになりかねません。その間の生活費(婚姻費用)の支払いをどうするのかは,支払う側にとってもお金の面では問題です。もらいたい側にとっては言うまでもありません。

 また,金額面で折り合いがついた場合に,どの時点からの支払いになるのかは問題になります。通常のケースでは,調停の申し立て時点となりますので,もし全く支払いをしていないケースでは,支払う側にとってはいきなり大きな負担が出てきかねません。金額の問題解決後に分割支払いの話をするということもあるかもしれませんが,当然解決に至るまでの時間は長くなります。

 

 もちろん,その間に通常は平行する可能性のある離婚調停が解決するということもあり得ますが,問題となる事柄やお互いの感情からそうはならないことも十分にあり得るところです。

 

 支払いを求める側から,暫定的でもいいので毎月の生活費(婚姻費用)の支払いをしてほしいという要求が調停委員を通じて伝えられる可能性もあるでしょう。その際にどうすればいいのか・よくわからないまま金額面の話を付けた段階で未払いのお金が問題になって,支払いの目途がないことのリスク等,支払いを求められた側にとっては,金額面だけでなく,少なくとも未払いになる可能性のある金額を含めてよく注意をする必要があるでしょう。

 

 このほかに,生活費(婚姻費用)の支払いに関する話し合いがつくまでに,支払いを求められた側が配偶者の生活費(家賃や公共料金などいくつかの項目が考えられます)を一部負担しているというケースも考えられます。もちろん,配偶者等のことを考えて,この部分の負担に加えて生活費の負担をしてもいいということは,十分あり得るでしょう。ただし,そんなに負担まではしたくないというお考えをお持ちであれば,こうした既払い金について二重に負担をしないように,注意をする必要もあります。また,生活費の既払い金に何が当たるのだろうかという点もよくチェックしておく必要があるでしょう。

 ご自身では当たるはずだと思っても,裁判例ではそうではないケースも十分考えられるところです。気になった際には,専門家に相談するのも一つの方法です。

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