法律のいろは

貸したお金が返ってこないのですが,どうすればいいのでしょうか(その⑨)?

2016年12月11日 更新 

 お金を貸したけれども帰ってこない場合について,以前自己破産と免責という話をしました。自己破産などを申し立てて,裁判所から免責の許可ができると,法律上,お金の請求は認められなくなるというものです。

 

 それでは,全ての権利が請求できなくなるかというとそうではありません。まず,保証人が要る場合には,破産の手続きによって保証人の支払い責任はなくなりません。このことが,保証人になることの責任の重さを物語る点にはなります。

 そのうえで,法律上,破産と免責の手続きによっても免れることができないものがあります。何度か触れた貸したお金はよほどのことがないと,そういったことには該当しません。代表例としては,他のコラムでも取り上げましたが,生活費(婚姻費用)・養育費は,支払い義務を免れることはできません。もっとも,実際に支払いができるかは別の話になります。このほか税金も支払い義務は残りますので,税金の延滞には注意が必要でしょう。

 

 このほか,害意をもって相手に損害を与えたような場合や,破産の手続きの中で知っておきながら債権者として届け出を裁判所に届けなかった場合なども支払い義務が残ることになります。お金を貸した場合に,借りた側が借りたことを知りながら(ミスではなく)債権者として届け出を裁判所に届け出ていなかった場合には,請求ができる権利ということになります。他にもいくつか該当するものがありますが,ここでは省略します。

 

 ただし,実際に貸したお金が破産と免責の手続きによっても支払いを求めることができるかどうかを破産や免責の許可を判断した裁判所が何かしら判断してくれるわけではありません。借りた側は破産や免責の手続きによって支払い義務がなくなったと考えている場合もあるでしょうから,その借りた側に裁判を起こした際に,裁判所が支払い義務を免れられない事情(先ほど挙げたもの)があるかどうかを判断することになります。

 このように,破産と免責の手続きを経た場合に,お金を貸したから当然に請求が認められるわけではなく,ハードルが大きく上がる点には注意が必要です。こうした場合には,普通は保証人に全額支払ってほしいという方が楽ですから,保証人になっている方にとって,借りた本人が破産や免責の手続きに入ってしまうことは大きな負担につながりかねません。もちろん,貸した側にとっても,保証人も破産した・お金がない場合には,回収ができなくなってしまうという点には注意が必要になります。

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