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預貯金が遺産分割の対象になると判断した裁判例(その②)

2016年12月22日 更新 

 預貯金が遺産分割の対象になる(つまり,当然分けられるわけではない)という判断を最高裁判所が示したというケースについて,前回紹介しました。今回はその続きです。

 

 前回は,普通預金・通常預金(ゆうちょ銀行)に関して,その性質などから当然に相続分に応じて分けられるわけではないという判断を示した点について触れました。問題となったケースについて紹介しますと,不動産と通常預金・普通預金(外貨建てを含む)と定期預金が遺産として含まれるケースで,相続人が養子2人であったというものです。預貯金(普通預金・通常預金,定期預金)につういて遺産分割の対象に含めるという合意が相続人の間でない状態で,どのように遺産分割がなされるのかどうかが問題になりました。

 ちなみに,相続人のうち一人が亡くなった方から生前贈与を相当程度(判断では5500万円程度とされています)を受けていたという事情があります。

 

 このケースでは,生前贈与はもらいすぎ防止のための調整(特別受益)の対象となっていますが,預貯金が遺産分割の対象でなく当然に分割されるかどうかは結論に大きな影響を与えかねません。というのも,先ほどの調整は遺産分割の対象となっているものを分割する際に調整を行うという性質のものです。そのため,調整の対象が少ないと,生前贈与を得た方の全体の取り分が大きくなります。

 

 実際のケースでは外貨預金も含まれるので,簡単にするために,預金部分の合計が4000万円程度であったと仮定します。この場合,預貯金が遺産分割の対象でないとすると,子供2人のみが相続人であれば,遺産分割を経ることなく2000万円ずつ取ることになります。生前贈与を5500万円得た方がこの分も確定的にとることになり,残った不動産を調整の対象にすることになります。

 ちなみに問題となったケースでは不動産の価格は250万円程度なので,生前贈与を得ていない方が取得するという判断になっています。

 

 これに対して,預貯金部分も遺産分割の対象であるということになると,先ほどの4000万円も調整の対象になります。そのため,生前贈与を受けた方の側が,相続分(1/2)をとることはできません。この場合,生前贈与を受けた方のトータルの取り分が減ることになります。

 

 このように,預貯金が遺産分割の対象になっているのかどうかは,こうした調整が必要な場合に取り分に大きく影響を与えかねません。公平の点からも問題が出てきかねない面があります。

 

 今回の判断は,第2審での遺産分割の対象に預貯金が入らない⇒調整の対象にならない,という判断を覆した形になります。前回は,このうち,普通預金・通常預金について触れました。次回は,定期預金部分について,その性質などから遺産分割の対象にはならないと判断した部分などについて触れていく予定です。

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