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養子縁組が無効になる場合とは(その⑤)?

2017年2月1日 更新 

 昨日,相続税の基礎控除分を増やす(相続税を減らす目的)ことを目指した養子縁組について,ある一定の事実関係の下で有効とする判断を最高裁が示しました。今回はこの裁判例について触れてみます。

 

 問題となったのは,こうした税金を減らすことを目的とした養子縁組に,法律で要求される親子関係を作る意思が存在するといえるかという点でした。実際のケースでは,亡くなった方にいる子供たちが,養子縁組をした孫に対して養子縁組が無効であることの確認を求めた裁判の模様です。判断の記載からすると,税理士の方から相続税の負担を減らすためというアドバイスがあり,それに従ったもののようです。

 前提が少しわかりにくいですが,相続税には基礎控除と呼ばれるものが存在します。これは,基礎控除とされる金額を相続財産が越えなければ相続税がかからないという制度になります。おととしに制度代わり,基礎控除の対象となる部分は減りました(相続税が課税される場合が増えることになります)が,相続人の数に応じてこの基礎控除が増える点に特徴があります。

 おととし4月より,3000万円+600万円×相続人の数,になります。養子縁組をすれば養子は養親の相続人になりますが,無制限に養子縁組をすることで簡単に節税をしつくせかねません。実際には基礎控除が認められる養子の範囲には上限があります。なお,このほか相続税には軽減規定がありますが,ここでは話を省略します。

 

 このように,相続人の数が増えれば相続税の基礎控除は増えますが,一方で遺言がない場合には他の相続人の取り分は減ります。ちなみに,このケースで問題となった孫は,自分の親が生きている場合には相続人にはなりません。養子縁組によってはじめて相続人になります(自分の実親が亡くなった場合には少し話がかわります)。

 

 こうした前提の話がありますが,裁判では第2審でこうした節税目的の養子縁組は,法律で要求される親子関係を作る意思があるとは言えないとして,無効であると判断しています。この判断によれば,その分基礎控除は減りますが,相続分にも影響する可能性が出てきます。これに対して,最高裁の判断では,この判断を覆して,養子縁組は有効と判断しています。

 

 その判断の中で,節税目的と法律で世給される親子関係を作る意思は共存しうるものであること・あくまでも節税目的は動機にすぎないから,ということが述べられています。ただし,あくまでも,共存しうるものであることから,もっぱら節税目的でなされた養子縁組でも直ちに無効にはならないと判断されている点には注意が必要でしょう。事実関係によっては,有効性に影響する場合もあり得るという話になります。

 縁組をして親子関係を作っていく意思があるとは言いにくいだけの事情が窺われないことから,影響はないとの話が判断で述べられています。こうした事情がある場合には影響がありうる点には注意が必要でしょう。

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