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インターネット上の検索結果の削除を認めたなかった裁判例

2017年3月12日 更新 

 既に報道が相当なされていますが,先日(といってもしばらく前ですが)最高裁において,有名な検索事業者に対して自分の名前などの検索結果を削除することを求めた件に関する判断がありました。このケースは,ヨーロッパで注目された「忘れられる権利」というものを削除を求めた側が当初主張して注目されたものでした。今回は,少しだけ,このケースを紹介していきます。

 

 このケースは,自らの犯罪履歴に関わる情報がインターネット上の検索結果で表示されるために,自らの「人格的利益」を侵害するものとして迅速な削除を仮に求めたものです(仮処分と法律上言われたものです)。

 

 そもそも,インターネット上の検索結果はプログラムに基づいて提供されていますが,このプログラム自体が検索事業者の方針に基づいて行われるものです。まして,検索結果を様々な情報入手のために使う方が多いことから,表現行為として法律上保護の対象となる者になります。一方で,「人格的利益」というものも,他人には知られたくない個人的な事柄(プライバシーと呼ばれるもの)で,これ自体も法律上保護の対象になると裁判例上されています。

 結局はどちらが保護されるべきか・その基準などはどうなのかという問題に大まかに言えばなってくる話です。

 

 裁判所の判断自体は,当初の判断では削除を認める⇒第2審で削除を認めない,というもので,最高裁の判断も削除は認めないというものでした。「忘れられる権利」というものの詳細に関しては別のところに譲りますが,第2審で内容が不明確である等として認められておらず,最高裁の判断ではこの点への言及がありませんでした。

 

 最高裁の判断は,いずれも法律上保護すべきもの同士をどのように調整するのかという観点から判断をしています。ここでは大まかな話をしていきますが,知られたくないことでどれだけの被害が発生するのかとその検索結果の情報を公開する意義や必要性等の事情を考慮して,特に公開を避けるべき理由がより重視されるべきことが明らかな場合に,削除を認めると判断しています。

 被害の程度は,知られたくない情報がどのような内容かによって変わってきますし,どこまで広がる話なのかによっても変わってきます。一方,社会的に重要な人物の情報であったり,その情報を載せた記事の目的や公開する必要性,社会の側の受け止め方の変化などの事情によっても,公開する必要性などの事情も変わってきます。

 実際には,こうした点にあてはまるだろう事情を考慮して判断をしていくことになります。

 

 実際のケースでは,犯罪に関する情報で知られたくない情報ではあったものの,児童に関わるものであって社会公共の関心が極めて大きく時間の経過でも変化しないことや伝わる範囲もある程度狭まっていることを理由に,他の事情を考慮しても公開を避けるべき理由が重視されることが明らかとは言えないと判断されています。

 

 インターネット上の削除に関する話は多いところではありますが,一つの大きな判断の方針となるケースと思われます。実際にはどうかは個別の事情に応じて専門家に相談した方がいいでしょう。

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