法律のいろは

家賃の滞納を続ける借主に対して,どのように対応すればいいでしょうか(その①)?

2017年4月5日 更新 

 アパートなどを持っていて他の人に貸している方にとって,空き室をいかに抑えるか・利回りの改善を図るのかは極めて重要な問題です。一方で,家賃を滞納されてしまっては,家賃の回収が図れないなどの問題が出てきます。アパートオーナーにとっては,いかに家賃の回収を図るかという話とともに延滞が続くのであれば,いかにそうした借主に対応するのかは極めて重要な問題になってきます。

 

 家賃の支払い時期は契約書をきちんと作成し取り決めている場合には,その記載時期によります(多くは先払いかと思われます)し,決めていない場合には,法律で定められた時期になります。この時期を過ぎたのに支払わない場合には家賃の延滞が生じたことになります。こうした延滞は一回きりのことやほんの数日のこともあれば,1か月遅れたままその後は支払われているけれども遅れが残ったまま・遅れが出ては後で支払っていることを繰り返している・何か月も連続して滞納している等,様々です。

 

 契約書によっては,一か月遅れただけで契約を解除できるという話が書かれている場合があります。この通り契約を解除して退去を求められるか・滞納している家賃を回収できるかは大きな問題になってきます。

 

 裁判例上は,貸主と借主の信頼関係によって長期間続く賃貸借契約は成り立っていることを理由に,信頼関係が壊れる事情があることを要求しています。1か月遅れたとしても信頼関係は壊れるのではないかという考えも出てくるところではありますが,裁判例上は単に1か月家賃の支払いが遅れたという事情があるだけでは,壊れてはいないと判断しているものもあります。ただし,この話は家賃の延滞の話だけですので,他の事情があれば信頼関係が壊れていると考えられる場合もあります。

 

 それではどの程度の期間が必要なのかは問題になりますが,ここではアパート(貸家)の場合について触れておきます。少なくとも3か月程度の遅れが続き,支払いを求めたにもかかわらずさらに遅れた場合には,信頼関係が壊れていると考えられる可能性が高くなります。もっとも,面倒なのは支払いが数か月遅れている・貸している部屋に貸した相手がいない状態だが荷物が置いてある状況ですが,この状況でも勝手に荷物を捨てる等はできないことには注意が必要でしょう。

 いずれにしても,退去を求めるには,話し合いで折り合いをつけて自発的に退去してもらうか・裁判手続きを踏んで強制執行という裁判所を介した手続きをとる必要が出てきます。次回に続きます。

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