法律のいろは

裁判所から何か手紙が来たのですが,どのように対応するのがいいでしょうか(その①)?

2017年5月10日 更新 

 通常,裁判所から手紙が来ることはそうそうないかと思われます。その中身は種々考えられるところでどう対応すればいいのかは,中身を見てから考えることになるでしょう。ちなみに,受け取らなければいいということで放っておいた場合は,その中身によってはリスクが生じかねません(この点は次回のコラムで触れる予定です)ので,注意が必要です。要は,放っておけばいいという簡単な話では済まないことがあるということです。

 

 では,裁判所から来た手紙の中身を見て,そこに訴状が提出されたということで,訴状と証拠・反論があれば○月○日までに出してください,第1回裁判は×月×日ですなどと書かれていた場合には,注意が必要になります。これは,地方裁判所か簡易裁判所(離婚に関しては家庭裁判所もありえます)かは別として,ご自身を「被告」とする裁判が起こされたことを意味しています。

 身に覚えがない・放っておきたいというお気持ちが出てくるかもしれませんが,ここで放っておくと大変な事態が生じる可能性があります。それは,離婚裁判など家庭裁判所で行われる裁判の場合はともかくとして,相手方の言い分・請求がそのまま認められる可能性が高まってしまうという点です。離婚裁判などでも相手方の言い分が認められる可能性もありますが,たとえば,お金の請求の場合には相手方の言い分を認めたものとして扱われる等のリスクが大きくなります。

 たとえば,15年前に貸した100万円を返してほしいという裁判が起こされたとします。全く返済もしていなければ,これまで請求もされていないというのであれば,時効の主張で対応することが可能です。通常,時効の主張を受けるようなこうした裁判を起こす可能性はあまりありませんが,少し極端な例として挙げておきます。こうした場合であっても,裁判所から来た訴状を無視して特に反論もせずに裁判にも出頭せずに放っておくと大変面倒な話になりかねません。

 それは,被告とされた方が特に反論も出さず争う姿勢も示さない(書類も出さず裁判所にも出頭しないケースは典型的な話です)場合には,相手方(訴えた側・原告)の言い分を認めたものとして扱うとの法律の決まりなどがあるためです。先ほどのケースでは,相手の貸したお金を貸してほしいという請求が判決で命じられてしまいかねません。そして,判決が郵送されてから2週間は判決への不服申し立てができる期間ですが,この期間が経過してしまうと不服の申し立ては基本的にできなくなります。

 そのことの意味する点は大きく,それまでは時効の主張によって反論ができ,相手の請求が認められる法律上の可能性をふさぐことができた点が失われるということです。これは,裁判というものが,そこでお互いに言い分や証拠を出させて争う機会を十分に与える・そのかわり,一度判断を下したのに,そこで争うことができた点を後で文句を言われることを許すと何のために裁判で争う機会を与えて判断したのかわからなくなるという理由に基づくものです。

 もちろん,再審と呼ばれる場合に該当すれば,争う道はありますが,相当狭い例外的なものである点には注意が必要でしょう。

 

 このように,放っておくことへのリスクがある点には注意が必要です。次回に続きます。

 

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