法律のいろは

裁判所から何か手紙が来たのですが,どのように対応するのがいいでしょうか(その②)?

2017年5月11日 更新 

 前回は,裁判所から来た手紙に関して,その中身がご自身を相手方とする裁判が起こされたという内容のものであった場合の話をしました。簡単に振り返ると,こう言った書類を放っておくのは非常にリスクが高いということになります。日本では法律上,裁判が起こされると応じざるを得ない(無視はできない)という点がありますから,注意は必要です。

 受け取った場合に面倒なことになりかねないなら,放っておけばいいではないかという話も思いつきかねません。しかし,こうした事柄も放っておくことと同様にリスクのあることです。それはなぜでしょうか?

 

 結論から言えば,実際に受け取らなかった場合にも受け取ったのと同様の扱いを受ける場合が法律上あるためです。裏返せば,相手方が訴状を受け取らない場合であっても,判決は取得できる場合があるという話になります。訴える側からすれば,判決を取得しても回収ができないと意味がないため,それでも裁判を起こす意味は少なくなります。

 

 これは,裁判で相手方とする方(被告)の住民票上の住所地や今いるところ,勤務先に送付しても受け取りがない場合・住民票上の住所地に送付しても受け取らない上に他に送るべき場所がわからないといった場合に,書留郵便を送っただけで相手方が受け取ろうが受け取らまいが,疎受け取りをした扱いがなされると法律で定められているためです。法律上「付郵便送達」と呼ばれているものです。もちろん,いきなりこの方法を使うことはできません。住所に平日送付するのが受け取りが難しいなら,休日送付の方法は同か・勤務先など他の場所へ送付する方法はないか等の検討が必要になります。そうした方法では送付が難しい・普通に送っただけでは受け取りがなされない場合に,この方法が使われることになります。

 そのため,この方法をとる場合には,それをするだけの事情である旨の報告書等の提出を裁判所にする必要が出てきます。

 ちなみに,裁判所の掲示板に張り付ける(公示する)方法で送付した扱いができる場合があります(「公示送達」と呼ばれるものです)が,あくまでも相手方の所在が不明である場合に使われる方法です。この場合もそうした方法を使う法律上の前提を満たしていることを調べて裁判所に報告をする必要があります。

 

 こうした調査に関する報告書のひな形は裁判所のホームページにも掲載されていますが,郵便物のたまり具合や電気メーターの状況を調べる必要がある場合もありえます。

 

 この方法によって郵便配達がなされた場合には,受け取った扱いになりますから,無視しているうちにもう争えなくなってしまったという事態にもなりかねません。その際の問題点は前回触れました通りであり,大きな不利益につながる可能性もあります。まず,裁判所から手紙が来た場合には中身を見て,不安なら弁護士などに相談をした方がいいでしょう。

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