法律のいろは

裁判所から何か手紙が来たのですが,どのように対応するのがいいでしょうか(その③家庭裁判所からの手紙)?

2017年5月12日 更新 

 前回まで,簡易裁判所や地方裁判所から来た手紙のうち,民事事件の訴状に関する話を中心に触れてきました。その中で,家庭裁判所からの通知に関しても触れましたが,今回は家庭裁判所から来た手紙に関して触れていきます。

 

 家庭裁判所からくる手紙も民事事件についていえば,調停に関するもの・裁判などに関するものになります。このうち,多くの種類の事柄は法律上先に調停を経ることが前提となっていますから,通常家庭裁判所からくる手紙のうち最初に見るのは調停が申し立てられたという内容になろうと考えられます。

 ここで調停が申し立てられたというのは,相続・遺産分割に関わる事柄・離婚や親子関係に関する事柄等家庭に関わる法律問題に関することになります。今回は,そのうち離婚や親子関係に関するものについて触れます。離婚や親子関係に関する調停(離婚調停・婚姻費用分担調停・養育費減額調停など)には,調停がまとまらない場合には単に不成立に終わるもの(その後別に裁判を起こす必要があるものもあります)・調停がまとまらない場合には,審判といって裁判官が判断を示すものがあります。

 

 このうち,調停がまとまらない場合には単に不成立に終わるものは,手紙が来ても無視して家庭裁判所に出頭しない場合には,単に調停が不成立となります。たとえば,離婚調停(夫婦関係調整)はそうしたケースにあてはまります。それに対し,婚姻費用(生活費)の支払いに関する調停は,手紙を無視して家庭裁判所へ出頭しないことを繰り返した場合には,話し合いがまとまらず(話し合いをする気がないという扱いなど)不成立になる可能性があります。この場合は,形はともかく審判に移行することになるでしょう。審判では,出頭しないからといって申立てた側の事実・請求を認めたものとして扱うという決まりはありません。そのため,証拠や言い分を見て裁判官が判断を示します。ただし,それは申立てた側しかこの場合言い分を出していませんから,必然的に申し立てた側の言い分のみを見て判断をすることになります。もちろん,争う気がないのではないか(親権であれば,子供の監護意思がないことの一つの事情としての考慮も可能性としてはありえます)という点が何かしら考慮される可能性はありえます。

 そのため,ご自身に何か言い分がある場合でも出さないで放置をしておいた場合には,そうした点が反映されない判断が示されるリスクが出てきます。それが実際的に不利益な内容になるかどうかはケースバイケースですが,少なくとも後悔をする可能性がある点には注意をした方がいいでしょう。

 

 ちなみに,離婚裁判等家庭裁判所で行われる裁判においても,地方裁判所や簡易裁判所のように無視したことで当然に相手方の言い分が認められるというわけではありませんが,不出頭であり争う意向がないことは証拠や相手方のみの言い分とともに裁判官の判断に反映される可能性はあります。また,出頭が見込まれない等合意はできないがここで判断をするのが相当と考えられるケースでは,裁判官から調停に代わる審判が出される場合もあります。この場合は出された審判に対して,届いてから2週間不服を申し立てないとその内容で話がついた扱いがなされます(不服がなされた場合には,この審判の効力が失われます。この場合は正式な審判手続きに移行しマテ審理が進められます)。ここでの審判でもお金の支払いなどを命じる内容も可能ですから,異議を出すのかどうかは注意が必要です。この手続きのメリットは煩雑な審判手続きを行うことなく迅速に問題解決へとむかえる点です。

 こうした点も考えると,家庭裁判所から来た手紙であっても,弁護士等専門家にまずは対応を相談してみた方がいいように思われます。

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