法律のいろは

民法の改正について(その③)

2017年6月22日 更新 

 民法の改正に関する記事が他の法律等の記事にかすんでいる印象がありますが,成立から3年を超えない範囲内で施行される予定とのことです。具体的にいつかは,この記事を記載する時点でははっきりはしていませんが,いつの時点から改正された内容で法律が使われるかが問題になる重要な話になります。

 

 前回までは家などを借りる等の賃貸借に関して触れてきました。重要な改正は何個もあるため一回では到底照会できませんが,今回は「消滅時効」と呼ばれるものに関する改正点のうち,いくつかの事柄を触れておきます。

 そもそも,「消滅時効」とは何かという話は別のコラムで触れています。簡単に言えば,いくら法律上の権利が存在しても,法律で定められた期間権利を行使しないで経過するという事情があった場合に,その権利が消滅することがあるというものになります。そのためには,法律で定められた一定の方(大ざっぱに言えば,権利の消滅によって利益を得る方,裁判例でこの一定の範囲の方にどこまで含まれるかは様々判断されています)が「時効」の主張をする必要があります。

 

 こうした「消滅時効」に関する改正点は何点もありますが,大きなものとしては,こうした期間がどこからスタートするかという点に関する変更・権利行使をしないことで権利が消滅しかねなくなる期間の長さの変更などが挙げられます(もちろん,どこまで大きなものかという点もありますし,変更点はこれだけには収まりません)。

 まず,権利行使をしないことで権利が消滅しかねなくなる期間の長さについて触れます。これまで主には10年(商行為とされるものは5年,その他これよりも短いものが存在します)とされてきました。問題になるのは,特に短い期間でこうした期間が経過してしまうものです。意外と身近なものが存在し,少なくとも今の時点では短い期間でこうした期間が経過してしまいます。

 代表例としては,飲み屋等のツケと呼ばれるものがあります。これは1年とされています。また,電気料金も裁判例を踏まえると,2年とされています。このほか,小売で消費者に商品を売却した際の代金なども2年とされています。以外と身近なものに特に短い期間放っておくことで権利が消滅しかねないところがありました。ちなみに,いつから2年あるいは1年かといえば,権利行使をできるときからとされています。

 

 こうした短い期間で身近な権利が消滅するのは難しいところがありますが,今後はこうした短い期間で時効に必要な期間が経過することはなくなります(一部例外があります)。ただし,スタートとなる時点によって主に10年・5年と違う期間のいずれかが経過すれば,権利が消滅する可能性があります。この時点がどこかは大きな問題となってきます。そう言った時点の内容等は次回に続きます。

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