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任意後見契約の活用と成年後見制度との違い・使い方

2017年8月7日 更新 

 近年,高齢の方が生前何かあった際等の財産管理の在り方として,任意後見契約(財産管理契約)や民事信託の活用の話が取り上げられる傾向があります。他方で,高齢の方の判断能力が落ちた場合に財産管理などの在り方として成年後見制度という名前を聞かれた方がいらっしゃるかもしれません。今回は両者について違いや使い方等について簡単に触れていきます。

 

 まず,違いですが,任意後見制度は高齢の方の判断能力(財産管理などが難しいと考えられる程度)になった場合に備えて,予めそうした場合に財産管理などをしてもらう方との間に財産管理などの契約をしておくというものになります。成年後見制度も財産管理などを後見人と呼ばれる方にしてもらう点は一緒ですが,高齢の方の判断能力が落ちてからという点と基本的には財産管理をしてもらう方を指定できないという点で異なります。ちなみに,任意後見契約が有効になされている場合には成年後見制度を使うことはできません。

 特定の財産を管理してもらう点では民事信託制度と同じ点がありますが,民事信託制度では対象とされた財産についてのみ・任意後見契約では高齢の方ご自身のための制度ですが,民事信託では例えばお孫さんなど別の方のための管理とすることも可能です(この場合は,先ほどの例ではお孫さんが受益者と呼ばれる立場になります)。民事信託と任意後見はうまく組み合わせることもできなくはありませんが,全ての場合で民事信託という枠組みを使えばいいというわけでもありませんから,どういった形がいいのかが弁護士など専門家の方に相談をして考えていった方がいいでしょう。

 ちなみに,任意後見契約の場合は,成年後見制度の場合と異なり必ず家庭裁判所の選ぶ監督人をつけておく必要があります。というよりも,監督人の選任がなされないと任意後見契約に基づく財産管理などを行うことは法律上できません。民事信託の場合には監督人をつけることはできますが,家庭裁判所は介在しません。

 

 次に使い方ですが,高齢になった方の判断能力が落ちている場合には任意後見制度等の契約の形をとった財産管理の仕組みを使うことはできません。どこまでの判断能力が必要なのかという点は難しいものがありますが,大きな財産を管理してもらう・特にご自身のすべての財産の管理などをしてもらうといった内容であるこうした契約には,小さなモノの売り買いなどよりは大きな判断能力が必要という考え方も十分に成り立つところ(そのように考えているとみられる裁判例も見受けられます)です。そのため,財産の管理などを考える方にはご高齢で既に判断能力が落ちている可能性のあるケースも考えられますから,こうした契約の形による財産管理が使えるかどうかは,医療機関はもちろんのこと法律の専門家などにもよく相談をして対応を考えていく必要があります。

 

 このように,様々ある制度のうちどういったものを・どういった局面で使うのがいいかは違いやメリットデメリットを知ったうえで考えていく必要があるでしょう。メリット・デメリットについてはさらに別の機会に触れてみたいと思います。

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