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差押えによるお金の回収をしても金額が足りない場合の支払いの充当についての裁判所の判断例

2017年10月16日 更新 

 お金を貸した・売掛金がある・養育費や婚姻費用(生活費)の未払いがある場合に,当然支払いを求めることになります。公正証書があれば,裁判所での判断を求めることなく差し押さえの手続きに移ることができますが,そうでない場合は裁判所での判断を経て差押えの手続きに移ることになります。

 通常,お金の支払いは貸した元金や売掛金の他に,遅延損害金(支払いが遅れた期間に対して,利率を決めておけば原則はその利率・決めていなければ法定のもので一種の損害賠償)を求めることができます。遅延損害金は今述べた性質からは支払いが終わるまで生じることになります。一方で差押えの申し立てをする際には,書類にはどこまでの支払いを求めるか明確にする必要があります。

 

 この度,タイトルに関係ある話で最高裁で判断が出ましたので紹介します。簡略化しますと,問題となったケースは支払い義務がある方が他の方に対して持っている権利に対して差し押さえをしたものです。実際のケースとは異なりますが,勤めている方の会社に対する未払いの給料が,こうした権利の一例とは言えます。その際に,元々の元金等の他に遅延損害金を差し押さえ命令の申し立ての日まで生じた金額として申立書に記載をしていました。

 差し押さえがなされた後には実際に回収を行う(先ほど挙げた一例では会社から実際に支払いを受ける,ちなみにこの裁判では給料ではありません)必要があり,このケースでは差し押さえの対象となる権利からお金を回収しましたが足りないために,再度別途差し押さえ命令を申し立てました。

 お金の回収に不足が生じた場合には,元金と遅延損害金などのどれの支払いに充てられたのかをはっきりさせる必要があります(「充当」と呼ばれるものです)。このケースでは,差し押さえ命令申立の日以降の遅延損害金にも支払いに充てられたものとして計算し,再度差押えの申し立てをしています。

 

 このケースで問題となったのは,最初の差し押さえ命令の申立書自体には書かれていない,回収されたお金を申立の日以降の遅延損害金の支払いにも充てられたものとして扱っていいかどうかという点です。一つの考え方として,記載されていない部分は支払いに充てないという申立なのだから,そのような扱いは駄目であるというものです。もう一つの考え方は,通常遅延損害金は支払いが終わるまでは支払いに充てられるはずだから,こうした記載はなくても支払いに充てることができるというものです。最初の考え方によれば,このケースのような2回目の差し押さえの申し立てはダメということになります。

 

 最高裁は,最初の考え方を否定し,判断を変更しています。ちなみに,そもそも差押えの申し立てをする際に申立日までの遅延損害金として申立書に書くのは,申立書は実際に支払う方にどこまでの支払いをすればいいのかをはっきりさせるために配慮をするものです。これは,申立日までの遅延損害金と書かれていれば先ほどの利率からいくら支払えばいいかはっきりすることを反映しています。そして,支払い額が不足して,どの部分の支払いに充てられたかを考えるうえでは,こうした金額を確定しておく必要があるわけではありません。こうした点を踏まえて,先ほどの二つ目の考え方(支払いが終わるまで遅延損害金から支払いを受けるのが普通)という点で考えて構わないと述べているのがこの理由となります。

 

 実際のお金の回収をする場面での一つの参考になるのではないかと思われます。

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