法律のいろは

 消費者契約法の一部改正が先日施行されました。改正自体は少し前にされましたが,その実施(施行)は比較的近い時期(少し経過しています)ですので,今回は改正された概要部分の一部について触れていきたいと思います。

 

 今回触れるのは,取り消しの原因となる事柄が拡大されたという点になります。その前に,そもそも消費者契約とはという点ですが,長くなるため相当大雑把かつ簡単に触れてくと,消費者と事業者との間の契約といえます。ここでいう消費者とは,個人であること・事業として,事業のために契約をする方以外を指します。わかりにくいですが,大まかに言えば個人でかつ・事業について契約をしない方といえます。ちなみに,問題となっているケースで消費者に当たるかどうかが問題になるケースはあります。ここでいう取り消しなどの救済を受けられるかが問題となるためです。

 

 今回の改正は,取り消しになる場合の拡大・取り消しをした場合に返還する範囲の変更(取り消しをする場合は契約はなかったことになるため,受け取ったものは返還の必要がありますが,それに関連する事柄です)・取り消しができる期間の変更・解除を制限する契約上の事柄が無効になる等の点があります。

 このうち,取り消しができる範囲はこれまでは

 ①重要事項に関して事実と異なることを告げる⇒消費者がその事柄について誤認をする

 ②重要事項に関して利益となる事柄を告げる・消費者がその事柄について不利益なことがないと考える事柄を告げない⇒不利益な事柄がその事柄についてないと消費者が誤認

 ③不確実な事柄について,確実であるという断定を伴う判断を示す⇒確実であると消費者が誤認

 ④勧誘の際に,・消費者の家で勧誘をしている場合には,帰ってほしいと言われても帰らない

        ・消費者をどこかに連れ込んで勧誘している場合には,帰りたいと言われても返さない

  ことで,消費者を困惑させた

 

 場合とされていました。ここでいう「重要事項」とは,契約をするかどうか判断する上で通常影響を及ぼすだろう買うかどうか等が問題となっているモノ・サービスの質や用途などの内容・代金額・その他契約条件とされていました。

 

 しかし,これは実際とは異なることを言われて,そのことが契約する直接のきっかけであった場合を広くとらえられなくなります。簡単な例を挙げると,車のタイヤを交換した方がいいと業者から言われたケースを考えます。この場合に,交換をして買った方がいいと言われたタイヤが実際は特に特徴もないのに「タイヤの性質が優れているからよく走る」といわれた場合は,購入するものの質ですから取り消しができます。

 これに対し,今まで使っていたタイヤについて「溝がすり減っているから新しいタイヤを買った方がいい」といわれたものの,実際には今まで使っていたタイヤの溝はすり減っていなかったケースでは,買うかどうか問題になっているタイヤではありませんから,取り消しができなくなります。

 改正では,生命・身体・財産に対する危険を避けるために通常必要と判断される事項について,こうした事実と異なる話をするなどして誤認し契約した場合についても,取り消しができるようになりました。先ほどのケースでは,タイヤがすり減っているから交換する場合は,そのタイヤを使っていた場合には事故によるケガなどを考えて交換をすると考えることがまさしくこうしたことにあてはまります。

 

 また,諸般の事情から見て必要もないほどの量を消費者に販売するケースについて,取り消しができる事柄として先ほどの①から④とは別の事柄として追加されました。この話は次回に触れたいと思います。

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