法律のいろは

親戚や友人の借金を代わりに支払うことに何か問題があるでしょうか?

2017年9月15日 更新 

 タイトルを見ると当然問題はないはずという気がしなくはありません。親子・兄弟で支払いが難しくなっているのを代わりに支払ってみて,後で返済してもらおうという話はあります。これが友人や知人になるとトラブルにつながる可能性は出てきます。実際,本人以外の方が返済をすることに問題は出てくるのでしょうか?

 

 ここでの問題の一つとして返済が有効なものになるだろうかという問題があります。基本的に,夫婦の間の日常生活を営む場合を除き,保証人や連帯債務を契約で負う場合ぐらいしか親戚等の支払いの負担を負うことはありません。支払いの負担を負わない方が行った返済がどのように考えられるかというのがここでの問題となります。

 現在の法律では,こうした支払い義務を負わない方のした返済は,借りた本人の意思に反しない限りは有効である(逆に言うと意思に反した場合には無効になり,返済としての意味はなくなります)ということになります。厳密にいうと,「法律上の利害関係のない」方の支払いに該当しますが,単に友人知人というだけでは当てはまりません。遠縁の親族でも該当はしません。無効になるということは有効な支払いではないという話になります。

 

 ちなみに,こうした定めを置いている民法という法律は数年後に改正した内容が適用されますが,概ね内容は変わりません。ただ,お金を貸している側からすると,支払い義務のある方の意思に反しているかどうかを把握することには困難があります。そういったことから,支払いが無効になる場合を少し狭めています。もう少し詳しく触れますと,貸した側が支払い義務のある方の意思に反した支払であったことを支払いを受けた際に知らなかった場合には,支払いとして有効になります。

 

 もちろん,自分の借金を代わりに払ってもらって嫌だと思う人間はいないという話が出てくるところですが,この法律の決まりは,法律上利害関係のない人間が代わりに支払うことはふつうない・支払いをした場合には後で過酷な取り立てを代わりに支払った方が元々支払い義務のある方にするのではないか等の発想に立って設けられたものです。この考え方自体は改正後の民法でも基本的には残ります。

 先ほどの支払いが無効となった場合には,代わりに支払いをした側は本来支払い義務を負っている方に代わりに支払ったお金の請求はできなくなります。

 

 このように,友人・親せき関係で行った代わりの支払いは実は無効になるリスクがあるのは,豆知識ですが,知っておいて損はないように思われます。

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