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自宅土地建物が遺産としてあるものの,負債があって担保になっている場合の遺言での注意点

2017年10月25日 更新 

 少しわかりにくいタイトルですが,一つ例を挙げてみましょう。ある方が,自宅の土地建物を持っているものの,ざまざまな事情からお金を借りたことによる負債が存在し,土地建物に抵当権がつけられています。この場合に,子供が3人いる(配偶者は既に亡くなっているものとします)ものの,そのうちの一人に「相続させる」という遺言を書いていた場合に,負債はどうなるのかが今回の話になります。ちなみに,このケースでは,遺言をした方のめぼしい財産は自宅土地建物で,遺言をした際も亡くなった時点でも基本的には変わらないとします。

 

 「相続させる」という遺言がある場合には,「相続させる」対象となる方が,このケースでは自宅土地建物を取得することになります。この場合に,負債については誰が引き継ぐことになるかは遺言からははっきりしません。一方で,遺言をした方にお金を貸していた方は,遺言について基本的には知らない話です。遺言は自由にできるものであるためです。そのため,知らないところで相続人の誰かのみが引き継ぎにされても,それによってお金が返されないという話になっては困ります。

 

 こうした遺言があった場合にどのように考えるかを判断した最高裁の判断があります。すべての財産を子供のうち誰かに渡す場合は,マイナスの部分(借金・負債)もその子供に渡す意思があるという判断をしています。そのため,先ほどのケースでは負債は自宅土地建物を引き継ぐ子供が引き継ぐことになります。

 しかし,一方で先ほど触れましたように,お金を貸した側にとっては知らない可能性がある遺言によって,子供のうち特定の子供だけが借金を引き継ぐのは貸した側には不利になりかねません。遺言がなければ,相続人になるはずの子供が相続分に応じて(先ほどのケースでは各自1/3)引き継ぐことになります。自宅土地建物も同様にすべての子供が引き継ぎ遺産分割をするに過ぎない話にすぎません。こうした点を考慮して,そのお金を貸した方からは全ての子供に貸金を相続分に応じて請求ができると判断しています。

 ただ,そうなると,遺言によって本来は借金を引き継がないはずの子供にとっては不利になりかねません。そのため,お金を貸した方からの請求に応じて支払った後は,先ほどのケースでは自宅土地建物を引き継いだ子供に返済した部分の支払いを求めることができると判断しています。この場合の問題点は,請求をした時点で自宅土地建物を相続した子供が財産をなくした場合には,お金の回収を返済をした子供が図れない可能性があるということです。

 

 遺言をする場合には,こうした点の意識があった方がいいかもしれません。

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