法律のいろは

不動産の登記簿にまつわる話

2018年2月27日 更新 

 登記簿といわれてピンとこない方は多いのではないでしょうか?家を買った際に手続きをするものの一つ,司法書士の方が関わるものという程度の話があれば,それはその通りです。実際こうした「登記簿」がどのようなもので,何が読み取れるのか,「登記簿」の記載を変更しないとどういった不便が生じるのか・変更したいけれどもうまく話が進まない場合はどうすればいいのかを簡単に触れていきます。

 

 登記簿は,日本に存在する土地や建物がどこにあって,誰が所有者なのか等を示す不動産に関わるものと会社に関して,役員が誰か等法律で定められた内容を示すものがあります。それぞれ,そこに記載された内容を見ることで,不動産・会社に関するある程度の情報を得ることができます。今回は不動産に関する話を以下でしていきます。

 まず,登記簿に「地積」という面積に関する記載や所有者が誰かという記載があります。この面積は正しいものかどうかは分かりませんので,この記載をそのまま信じた場合,「うちの土地はここまであるはずなのに」という問題が生じかねません。隣の土地との境界をはっきりさせるには,「境界確認」という手続きをしないといけない場合が多くなってきます。細かい話は省略しますが,この「境界確認」は所有する土地の境界を決めるということにはならないこともありえます。

 所有者についても,記載された方が通常所有者であるケースが多いですが,必ずしも正しくない場合があるので注意が必要です。一例として,はるか昔に所有者としての記載があり,その後相続があったけれどもその登記がされていない場合があります。このほか,「乙区」とされている部分には抵当権など土地をいざというときには失ってしまいかねない原因があるのかどうか等の記載があります。登記簿を見ることで,土地や建物の利用や取得に問題があるのかどうかをある程度知ることができます。

 

 よく登記の名義を変更するということが,売買などあった際に言われますが,これは絶対の義務ではありません。しかし通常はなされます。これは,所有者として登記されることで,所有者であることが対外的に明らかにできるという面もありますが,その後元の所有者が別の方に同じ土地などを売却した場合に先に名義変更されると権利が主張できなくなる等の面倒な点があるからです。もっとも,こうしたことは通常はありません。こうした二重に売却することは売却した方にも犯罪などに該当する可能性があり,リスキーなためです。

 土地の売り買い以外にも登記の名義が移る場合があります。名義を移す方が名義を移すのに協力する義務が課される場合が多いですが,自発的に協力しない場合には,名義を移すことはすぐにはできなくなります。ご自身の権利を主張するなど原因は様々ですが,こういった場合には登記の名義を移すことへの協力を求める裁判を起こして勝訴する必要があります。もちろん,交渉や裁判の仲での話し合いによって解決をする方法もありえますが,代理人を選任する場合には多くは弁護士に依頼することになろうかと考えられます。

 

 相続や売買の場面でもそうですが,途中にあった権利の変動(権利者の変更)を省略することは原則としてできません。また,相続の場面で配偶者居住権を設定した場合には登記をしておいた方がいい等,自らの権利を守るためには登記をしておく必要があります。相続の陶器は現在は任意であるため,数代にわたって遺産分割や相続の登記がなされていない土地が特に田舎ではたくさんあります。現在相続登記の義務化をするかどうかの検討が国で行われており,仮に義務化がなされるとなると,登記がより身近かかつ無視できない(登記をするには司法書士の方など専門職への依頼費用のほかに登録免許税といった税金も発生します)ことになるでしょう。

 

 このように,身近なようでよくは分からない「登記簿」にも身近に関わることはありえます。

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