法律のいろは

実印の管理は重要

2013年4月12日 更新 

 実印の管理は重要,そんなことは言われなくても分かっているという方は多くいるでしょう。

 ならば,なぜ重要なのでしょうか?たとえば,お金を借りたからということで100万円請求されたとします。身に覚えはないけど,書類には自分の名前が書かれていて,自分の実印が押されているとします。自分以外の人が書いたんだから筆跡が違うという反論が可能でしょう。ただ,実印が押されているがために,反論等のハードルが上がります。

 お金を借りたという場合,借用書はその証拠となるものです。お金を借りて返す約束をしたと言えるには,借用書が借主の意思にもとづいて作られている必要があります。法律上や裁判例上,本人の印鑑の印影(簡単によると本人の印鑑の押した跡)があると,本人の意思にもとづいて書類が作られたと「推定」されます(厳密には業界用語で「2段の推定」と呼ばれるもので,推定は2段階で考えます)。

 そのため,「推定」を崩す必要が出てきます。その中身として,自分以外の人が勝手に印鑑を使った・印鑑自体偽造されたとか盗まれたいうことをしっかりと反論する必要があります。それだけでなく,裏付けとなる部分の証明も必要です。さっきの場合だと,印鑑を簡単に持ち出せる状態があった事等が当てはまりますね。

 実印は,市町村の役所に届け出て本人の印鑑と確認されているものですね。ですから,実印を押されていると,本人の印鑑ということで簡単に「推定」されるので,ひっくり返すのは結構大変です。同じことは委任状にも言えます。勝手に土地が売られていた。売る際の委任状に自分の実印が使われていたというような場合です。

 できれば,後でハードルの上がった反論・証明をする必要がないように実印はしっかり管理をしておきたいものです。大事なものに関わるかもしれませんから。

 

  ちなみに,印鑑というと「実印」が必要なのかは気になるところですが,あくまでも印鑑登録制度によって本人の印鑑として登録されたものにすぎません。そのため,重要な取引などでは実印を要求されることは多いですが,常に実印が必要というわけでもありません。わざと実印以外の印鑑を使ったから利益になるわけでも不利益になるわけでもありません。契約の有効無効とは関わりませんが,誰が関わったかという点に影響がある点には注意が必要ですね。

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