法律のいろは

人が写っている画像や映像を投稿することに問題はあるのでしょうか(その③)?

2013年8月7日 更新 

  インターネット上に撮影した写真や動画を投稿する際に,写真や動画に人が写っている場合に,その写真や動画をその人の許諾なく載せることに問題があるのかという話についての続きです。

 

 前回までの話で,誰が写っているのか判別できる写真の投稿には肖像権やプライバシーの権利の侵害がありえることに触れました。また,裁判例に照らして,誰か判別できる写真を投稿した場合に,どういった場合に損害賠償の支払いをしないといけないのかという話にも触れてきました。今回は,この裁判例についての続きからです。

 

  前回は,問題となった裁判例では,法令で必要とされる裁判所の許可なく撮影した隠し撮りの写真でかつ,必要性もない場面の撮影をして雑誌に掲載したこと等を理由に損害賠償義務を認めたという話をしました。

 

 要素としては,撮影の態様や撮影をした場面,さらには広く第3者に姿を見られ撮影されることも十分予測できる場所かどうかが大きな要因だったかと思われます。あくまでも,問題となった裁判例での結論についてですので,他に一般化できるとは限りません。

 

 ただし,撮影されている被写体の方の姿や行動・特に隠し撮りなどしている場合には,撮影の内容や必要性等の面で問題が出てきます。特に,基本的に誰でも立ち入りができ人から撮影されることも想定できる場所でもなければ,問題としては大きくなってきます。

 結論として,災害や事件の状況を伝えるためにやむを得ない範囲で人が写っているという状況でもない限りは,損害賠償請求が認められるリスクは十分ありえます。特に,撮影されている内容からみてわざわざ撮影する必要もないとか,隠し撮りであればリスクは大きくなると思われます。一番安全なのは,写っている本人に説明して承諾を得ておくことだと思われます。

 

 問題の一つとして,損害賠償の支払いをしなければいけない場合に,いくらくらいの賠償義務が発生するのかという点があります。はっきりとこの金額と決まっているわけではありません。ちなみに,これまで取り上げた最高裁の裁判例では,高裁で220万円を認めているという事案でした。

 これまでの裁判例に照らせばそこまでは高額化はしないと思われます。ただし,状況によっては高額化の可能性もあります。それについては,前回まで触れた裁判例の補足も兼ねて次回に触れたいと思います。

 

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