法律のいろは

妻との間に生まれた子どもが,実は自分の子どもでなかった場合の対応は何かあるのでしょうか(その③)?

2013年9月21日 更新 

 タイトルは男性目線となっていますが,女性としても別の角度から問題となることがありうるものです。前回は嫡出推定という制度を前提に,無戸籍の問題まで触れました。今回はその続きです。

 

 前回,無戸籍(戸籍未記載)の問題まで触れました。補足で述べておきますが,こうした状況が生じるのは,色々と背景や価値観が絡むもありうる問題です。ですから,何がいいのかという話まではそう簡単にはできないものです。

 この場合に,血縁上の父親との親子関係を法律上も作るのは多くの困難を抱えるものです。この点については,これから触れる嫡出否認制度との関係で触れていきたいと思います。

 

 嫡出否認の制度とは何かについて触れていきます。嫡出子と推定がされている子ども(つまり結婚後200日経過後・離婚後300日経過までに生まれた子供)について,実際は親子関係がない(血縁関係にない)ということを争うには,嫡出否認の訴えという裁判を裁判所に起こすしかないと法律に定められています。

 先ほどまで述べてきた点で問題に繋がるのは,この裁判を起こせるのは法律上の結婚の夫が原則であるという点です。少なくとも,妻・子供・子供の血縁上の父親は裁判を起こすことができません。

 更に,法律上の結婚の夫が,法律上の結婚で生まれた子供だと認める・子どもが生まれたことを法律上の夫が知ってから1年が過ぎると,この裁判を起こすことはできません。

 

 というと,先ほどの無戸籍の子供の場合に何かしらの方法はないのかという点が問題になります。この点については,裁判例上次のようなものが存在します。

 妻が子どもを妊娠したと考えられる時期に,別居をして夫婦の実体が失われている(別居というよりも夫婦の実体がなくなっているかどうかが問題です)・夫婦が遠く離れて住んでいるなどの事情がある,こうした事情から夫婦の間で性的関係を持つことが考えがたく子どもの父親として法律上の結婚の夫がまず考えられない場合には,親子関係不存在確認の訴えという方法も使えるというものです。

 簡単に言えば,いかに嫡出推定が効く時期に,妻が子どもを妊娠して出産したとしても,法律上の結婚の夫が父親であると考えがたいだけの事情(事実上離婚・遠く住んでいて性的関係がない)という事情があれば,嫡出否認の訴え以外にも道が開けるということです。

 道が開けるというのは,親子関係不存在確認の訴えであれば,確認する法律上の必要があれば,基本的に期間の制限なく子どもの母親や子供等にも訴えることができるという点があるからです。法律上の結婚の夫しか裁判ができないという嫡出否認の訴えとは大きな違いです。

 

 以上の補足と続きは,次回に行います。

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