法律のいろは

婚姻費用とは何でしょうか?(その⑧~こんな場合も金額算定で考慮してもらえますか?~)

2013年7月7日 更新 

 前回は、住宅ローンや、支払を受ける者の家賃を負担している場合、婚姻費用(生活費)の額を決める上で考慮してもらえるか、をお話ししました。

 今日はその続きで、たとえば婚姻費用(生活費)の支払を受ける人の光熱費や携帯電話代などを支払っているときはどうか・借金の返済は考慮してもらえるのか、についてお話しします。

○ 相手の光熱費・携帯電話代を支払続けているが、考慮してもらえるの?

 光熱費・携帯電話代は、日々生活していく上でかかるものであり、まさしく生活費の一部といえます。ただ、通常はさほど金額的に大きくならないでしょうから、婚姻費用算定表の1万円~2万円の幅の中で考慮されるべきです。

 ただ、たとえば子どもさんの人数が多く、光熱費・携帯電話代がかなりかかっている、あるいはそれ以外の事情で金額的に大きいときは、算定表で計算し、出てくる婚姻費用(生活費)の額から、現に支払をしている金額を引くことも考えられます。

○ 夫婦が同居していたときに借りていた借金の返済がそこそこあるが、考慮してもらえるの?

 借金が、何の支払にあてるための借入かによって異なってきます。

 子どもの学費や、足りない生活費や医療費にあてるため、といった、教育費・生活費などを穴埋めするための借入であれば、結婚生活を維持するための借入といえます。

 本来ですと、そのいくらかは相手も負担すべきといえますので、婚姻費用算定表から導き出された金額の中から、借金の返済額のうち一定額を控除することを考えるべきでしょう。

 これに対して、借金が、結婚生活のためというよりも、ギャンブルにあてるため・あるいはブランド品の購入のため、といったような生活費と離れた個人的な使途であったときは、月々支払うべき婚姻費用(生活費)から返済額を差し引くべきではないでしょう。

 また、車のローンのように、夫婦共有の財産の維持・形成に役立つものであるときは、住宅ローンの支払と同様、返済額全部を婚姻費用(生活費)から差し引くべきではないでしょう。住宅ローンと違い、同様の物件を借りた場合の賃料相当額で考慮、というわけにはいかないので、どう考えるか難しいところです。お互いにとって公平になるよう、金額を考慮していくしかないでしょう。

 次回は、特に婚姻費用(生活費)の支払をする人からの質問でよくある、「こんな場合でも婚姻費用(生活費)を支払わなければいけないの?」についてお話ししたいと思います。

 

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