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配偶者の精神疾患や認知症は離婚理由になるのでしょうか(その③)?

2016年4月1日 更新 

 高齢化が進んでおり,高齢者の夫婦だけで生活というケースも増えています。これまで,主に配偶者の躁うつ病等の精神疾患を理由とした離婚の請求が,離婚裁判で認められるかどうかを触れました。今回は,高齢者のり患する可能性の高い認知症が離婚原因になるかどうかについて触れていきます。

 問題となるのは,認知症が「回復の見込みのない強度の精神病」にあたるのか,婚姻継続を困難にする重大な事由にあたるのかが問題となります。認知症と離婚裁判を取り上げる際に,よく引用される裁判例のケースでは,「回復の見込みのない強度の精神病」ではないとされています。ただし,婚姻を継続しがたい重大な事由にあたると判断されています。

 問題となったケースは今となっては古いものですが,配偶者がいわゆる若年性アルツハイマー型認知症等と考えられる病気にかかったものです。症状が現れてから数年間,離婚を求める側が配偶者の世話をしているものの,配偶者の症状が悪化していったものです。アルツハイマー型認知症の症状の進行はここで詳しくは触れませんが,相当程度悪化した後に,成年後見開始の申立てがなされています。成年後見が開始されてしばらく経った後に,離婚裁判まで至ったというものです。

 

 この裁判例では,アルツハイマー型認知症との診断を受け,成年後見の審判がなされたからといって,回復の見込みのない強度の精神病にあたるかは疑問が残る旨を述べています。病気の性質に言及してはいますが,あくまでも婚姻を継続しがたい重大な事情があるかどうかを判断して,その存在を認めたうえで言及されたものです。そのため,全てのケースで回復しがたい強度の精神病にあたらないとまではいえません。

 ただし,相当絞り込まれますから,主には病気以外の事情も含めて婚姻を継続しがたい重大な事情が存在するかどうかが主な問題になると思われます。

 このケースでは,配偶者が病気にかかり悪化していく中で夫婦として負っている協力義務などを長年果たせなくなったことをもって破綻を認めています。そのうえで,これまで介護監護してきたこと・離婚後も配偶者に少しは経済的援助や面会をする意向である点などをも考慮して,婚姻関係を継続しがたい重大な事情があると認めています。

 夫婦関係の破綻の存在とその他の事情の関係は不明確な点はありますが,これまでの介護実績や今後の見通しも離婚裁判で考慮されうることは示されたように思われます。

 認知症と介護の問題は重大な点があり,負担が大きいから直ちに離婚という事にはならないとは思われますが,参考のため紹介しておきます。

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