法律のいろは

自転車による交通事故とは?(その③)

2013年8月20日 更新 

 自転車による交通事故について,自転車に乗る方に小学生くらいの子どもがいる場合もあります。そのため,加害者に子どもがなる可能性もあるとの話は前回触れました。今回は,自分の子どもが交通事故その他を引き起こした場合に,親が責任を負うことがあるのかという点について触れたいと思います。

 

 法律上,子どもが交通事故を起こして親が責任を負う場合があるものとして,責任を負う能力がない子どもの交通事故が考えられます。ここでいう責任を負う能力がないとはどういうことを指すのでしょうか?

 一言で言えば,自分の行った行為が法律上非難されることを弁識する能力とされています。分かりにくいですが,行った行為の性格や危険性を踏まえ,自分の行為が法律上非難されるものかどうかをわきまえるだけの知能の発達があったかどうかということができるでしょう。

 一般には12歳程度の子どもが標準とされていますが,裁判例においては11歳から14歳程度で責任能力があるかどうかが分かれています。結局,問題となった行動の内容・性格や危険性によって差が出てくる・子どもの発達状況によっても差が出てくると考えておいた方がいいと思われます。

 

 はっきりとした基準がないところですが,小学校高学年くらいになれば責任能力が子どもにありとされる可能性は十分に言えることになります。ちなみに,成人でも精神上の病気などによって自分の行った行為が法律上非難されるかどうかわからなければ,責任能力がないとされることがあります。

 

 注意すべきなのは,監督者責任として親が責任を負う基本的なパターンは,子どもが責任能力がないと考えられる場合です。こうした事情もあってか,裁判例ではお金も十分にある親に責任を負わせるために責任能力なしとしているのではないかと考えられる例もあるように思われます。

 ただし,これから触れますように,子どもが責任能力がある場合でも,子どもの起こした事柄について,親が損害賠償責任を負う可能性自体はありえます。それは,子どもの日常の行動などから親に個別具体的な監督義務が考えられる場合に,その監督義務に違反したといえるのであれば,監督義務違反を理由に損害賠償責任を認めようという考え方です。これは,先ほどの監督者責任もそうですが,交通事故以外に子どもが事件や事故を起こした場合にもあてはまる話です。

 

 少し抽象的な話ですので,次回具体的な話も交えつつ,補足をしていきます。

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