法律のいろは

離婚と年金分割(その⑫)

2013年10月9日 更新 

 離婚の際の年金分割という制度について,これまで何度か説明してきました。今回は,誤解しやすい点等について補足をしたいと思います。

 

 まず,年金分割の手続きが終わったからといって,直ちに分割された標準報酬月額等にもとづいて年金がもらえるわけではありません。分割されるものは年金自体ではありませんけど,この点は別に補足します。

 ポイントとなるのは,年金分割を受けた側が,年金をもらうための前提条件をクリアーする必要があります。その前提条件とは

 ①年金の支給開始年齢にもらう方が到達していること

 ②厚生年金の加入期間や国民年金の保険料を納めた期間等によって受給資格期間を満た 

  していること

 です。

 

 ここでいう,①支給開始年齢とは,年金分割の制度の対象が厚生年金や共済年金である点に注意する必要があります。厚生年金の支給開始年齢は,原則として65歳です。ただし,厚生年金の加入期間が1年以上あって,老齢厚生年金の受給資格要件を満たしていれば,これまでは60歳から64歳まで特別支給の厚生年金を受け取ることができました。これまで,というのは,現在段階的に65歳からの支給にしていくということで制度が変更していっているからです。

 国民年金(老齢基礎年金)の受給資格要件は,保険料納付期間と保険料免除期間の合計が25年以上であることとされています。この期間を満たしていれば,65歳から老齢基礎年金を受け取ることができます。後でも触れますが,国民年金(老齢基礎年金)は年金分割の対象ではありません。

 次に②の受給資格要件ですが,老齢基礎年金は既に上に書いた通りです。老齢厚生年金については,特別支給の老齢厚生年金は既に上に書いた通りですけど,一般には,

 ア 老齢基礎年金の受給資格要件を満たしていること

 イ 厚生年金の被保険者期間が一か月以上であること

 が受給資格要件とされています。

 

 ちなみに,既に年金を受け取っている方には,年金分割の手続きをした月の次の月から貰う年金に分割の効果が反映されます。

 

 次に,年金分割の効果は,あくまでも老齢厚生年金の報酬比例部分のみ(もちろん,共済年金も分割の効果が発生しますけど,ここでは主に老齢厚生年金を取り上げます)です。ですから,国民年金や企業年金・国民年金基金では年金分割ということがない点には注意する必要があります。

 では,ここでいう報酬比例部分とは何かという点を含めて次回に続きます。

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