法律のいろは

ストーカー行為規制法・DV防止法の改正について(平成25年)その⑨

2013年8月20日 更新 

 前回,警告を求める申し出に関して触れました。今回以降は,その続きで仮の禁止命令や禁止命令について触れていきます。

 

 まず,仮の禁止命令について触れます。仮の禁止命令とは,「つきまとい」等の被害を受けたという方から警告の申し出がなされた場合に,一定の事情があれば出されるものです。その一定の場合として

 ①被害者が申し出た加害者による「つきまとい」等が存在する

 ②被害者が申し出た加害者による「つきまとい」等が繰り返して行われるおそれがある

 ③「つきまとい」等によって,被害者の身体や住居の安全(平穏),名誉や行動の自由

 が著しく侵害されるのを防ぐために緊急の必要性がある

 ことが挙げられています。

 こうした事情があれば,警告の申し出さえされていると,加害者とされた方に反論の機会を与えることなく,警察本部長などは仮の禁止命令を出します。ここでいう仮の禁止命令の内容としては,「さらに「つきまとい」等にあたる行動を繰り返さないこと」ということになります。なお,仮の禁止命令がだされてから,15日以内に公安委員会は加害者とされた方の反論の機会を与える(仮の禁止命令の内容が不当なものだったかどうか意見を言う場面になります)ことになります。ちなみに,仮の禁止命令の効力は命令がなされた日から15日以内となります。

 仮の禁止命令に関しては,細かい点について改正がされています。これまで,仮の禁止命令は,被害を受けたという方(警告の申し出をした方)の住所地の警察本部長等が行ってきましたが,「つきまとい」等が行われたところ・加害者とされる方の住所地の警察本部長なども行うことができるようになりました。

 このほか,意見を聞く機会を設ける公安委員会の範囲の拡大や被害を受けたという方が転居した場合の情報の通知など細かな点の改正がありました。

 

 先ほど,後付けで意見や反論を言う機会を与えるという話をしました。その機会で意見や反論を聞いても,仮の禁止命令の内容に不当な点がないと考えられる場合には,加害者とされた方に意見を言う機会をさらに与えることなく禁止命令が出されることがあります。

 

 こうした仮の禁止命令は,緊急の必要性がある場合に禁止命令の内容の一部を先取りする内容です。そのため,こうした措置も必要と考えるならば,被害を受けた方は,緊急の措置が必要という証拠を準備して警察に相談しておく必要があると思われます。

 

 次回は,禁止命令について触れていきます。

 

 

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