法律のいろは

インターネット上で誹謗中傷された場合にどうすればいいのでしょうか?(その②)

2013年6月12日 更新 

 インターネットの掲示板に誹謗中傷されたと思える書き込みがあった時どうすればいいのかについて,前回触れました。

 こうした場合の対応として

 ①損害賠償請求をする

 ②誹謗中傷と考えられる書き込みを削除するよう求める

 ③書き込みをした方への刑事告訴等の対応

 といった方法が考えられるという点は,前回触れました。

 

 前回は,①と③について,名誉棄損を根拠に行うという話・名誉棄損とは何か・名誉棄損として処罰されず損害賠償できない場合があるという話をしました。名誉棄損として処罰されず損害賠償できないというのは,名誉棄損になるのだけれども,処罰や損害賠償を求められないということです。

 

 基本的には,人の社会的な評判を落とすと通常考えるだろう書き込みをすれば名誉棄損にあたることは,①と③で同じです。また,処罰や損害賠償を求められない場合も①と③でほぼ同じです。

 ただし,インターネット上での書き込みには,人の社会的な評判を落とすと通常考えられる書き込みといえるかどうかについて,新聞や雑誌に載った記事で名誉が棄損されたのと違った点もありうるところです。ちなみに,これは①の損害賠償を請求する場合の裁判例のなかで,出てきた考え方です。

 

 その裁判例では,インターネット上の電子会議室などでの書き込みの中で名誉棄損になるかどうかの判断をしています。そして,こうした電子会議室では,参加する人が自由に書き込みを許されているのだから,誹謗中傷と思われる書き込みをされた被害者も十分に反論する機会があると判断しています。そのうえで,反論が十分に行われたのであれば,誹謗中傷と思われる書き込みによって,被害者の方の社会的な評判を落とすと通常は考えられないと述べています。

 つまり,インターネット上では,自由に書き込みをして反論できるのだから,実際に十分反論をしていれば,名誉棄損に当たらないということになります。

 ちなみに,この裁判例では,被害者側に徴発される形で,反論として誹謗中傷と考えられる書き込みをした場合に,名誉棄損であっても損害賠償請求できない場合があると述べています。それは,挑発への反論として適切な範囲といっていますが,実際そうかはケースバイケースでしょう。

 

 こうしたインターネット上のやりとりに特別な話は,裁判例で一般的とまでは言えませんが,実際に損害賠償請求をするうえで考えておいた方がいい事だと思われます。

 次回に続きます。

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