法律のいろは

不貞・不倫(浮気)と慰謝料請求(その⑬)時効の問題②

2013年9月16日 更新 

 前回,不倫・不貞の慰謝料請求は,加害者と事実を知ってから3年であるという話に触れました。ここでいう加害者とは不倫・不貞をした相手方と配偶者のことです。特に問題となるのは,不倫・不貞の相手方ですが,どの程度知る必要があるのかという話を前回しました。

 事実とは知った時点までの不倫・不貞のことです。今回はこれらの話の続きをします。

 

 不倫・不貞の中には,相手方と配偶者が同居してしまう,夫婦の間では別居してしまうということもありえます。この場合は,ずっと貞操権侵害をしていることになります。また,当初は,夫婦関係の修復を考えていて,そのうちに夫婦間のやり取りは途絶え時間がかなりたった場合もありえます。この場合に,慰謝料請求ができるのかは大きな問題となりえます。

 というのも,以前触れましたが,夫婦の婚姻関係破綻後の不貞・不倫については,慰謝料の支払い義務が存在しないからです。先ほどの場合,放っている間に別居から時間がたち,破綻から数えて3年を超えてしまっていたら,時効によって慰謝料の請求がはばまれることがでてきます。もちろん,前提として,不倫・不貞があることと・その相手方を知っているということが必要です。

 まさしく,こうしたケースが問題となった最高裁の裁判例があります。この裁判例は,同居によって不倫・不貞は続いていたのだから,一体の行為ととらえて,時効がスタートする「不倫・不貞」があった事を知った時点を遅くしようとした高裁の判断をひっくり返しました。つまり,不倫・不貞はがあることを知れば,いつでも慰謝料請求をできるのだから,知った時点まで続いていた不倫・不貞は,知った時点から時効のための3年がスタートするとの判断をしたのです。

 ですから,知った時点での不倫・不貞とその後の不倫・不貞は同様にあった事を知っている場合,別々に時効のための3年がスタートすることになります。

 

 こうした話は,不倫・不貞によって離婚を余儀なくされたという離婚慰謝料の請求ができない不倫・不貞の相手方に対する慰謝料請求で大きな意味を持ってきます。注意する必要があるのは,先ほど触れた夫婦関係の破たんは,事実そのものではなく,事実を踏まえた評価であるということです。

 簡単に言えば,いつ破綻したかは一つの事実ではっきりするわけではなく,裁判官の評価なので,どうなるか予測がつかない点があるということです。ですから,慰謝料請求をどうするかは,時間から見ても注意する点があります。

 

 次回に続きます。

 

 

 

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