法律のいろは

離婚後の養育費(その⑳)

2013年11月10日 更新 

 離婚後に,親権者とならなかった親が親権者の親に対して支払う養育費について,前回は話合いであれば,色々なバリエーションが考えられるという話をしました。今回は,その続きです。

 

 以前,養育費の一括支払いの話をしました。その流れで,懈怠条項というものをつけることができないかという話を今回触れます。懈怠条項(けたいじょうこう)とは,たとえば,貸主が貸金の返済を求めたものの,借りた方が一括で返せないと言う場合に設けることがあります。分割払い(たとえば,1か月3万円を毎月末までに払う)を貸主は許すものの,支払に疑問を感じるところもあり,返すようプレッシャーを与えるために,2回以上毎月の支払いを怠ったら(遅れたら),全額請求できるという内容です。

 つまり,毎月の支払いがある場合に,何度か支払が遅れると総額を請求できるという定めをいいます。養育費については,毎月支払う金額の支払いが約束の日までに間に合わないことが続いた場合に,今後の養育費を含めて一括請求できる内容の約束をするかどうかという問題です。

 

 支払ってもらう方としては,促すようにこうした約束をしておきたいと考える方もいるかもしれません。ただし,養育費については離婚後の事情変更に伴う増額・減額も十分ありうるところですし,あくまでも未成年の子供の養育のための費用ですから,基本はその都度発生するものと考えることもできます。

 そのためもあってか,養育費については,懈怠約款を設けることは少ないのではないかと思われます。もちろん,全く否定されるわけでもないでしょうけれども,話合いの決着となる約束に工夫をする必要はあろうかと考えられます。

 

 これに対して,不倫等に伴う慰謝料については,分割払いと懈怠約款というのは幅広く用いられています。これは,不倫等という事柄から発生しますから,子供の成長に伴って発生するという事情もないので,額がはっきり定まっているという事情が関係してきます。額がはっきり定まっている以上は分割支払や分割払いが遅れた場合の支払いについての約束がしやすくなります。

 

 このように,離婚の際の養育費についての約束をどうするかは,話合いでは自由に決められるものの,難しい点もあります。次回に続きます。

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