法律のいろは

熟年離婚の際にポイントとなることとは?(その④)

2013年11月19日 更新 

 前回は、熟年離婚をする際に問題となりうる、慰謝料についてお話ししました。

 離婚を余儀なくされたことの慰謝料は、離婚原因や離婚せざるをえなくなるに至った経緯が考慮されること・具体的に考慮される項目などについて触れました。

 そして、慰謝料額を決めるにあたって、熟年離婚の場合、主に「結婚してきた期間」と「離婚後の経済状況」について、特に考慮する必要があるのではないかとお話ししたところです。

   このうち、「結婚してきた期間の長さ」については、慰謝料額が多く認められる方向に働くかが微妙なところです。熟年離婚となるとそれなりの結婚期間になるケースが通常だと思いますが、結婚期間が長ければ破たんに至る原因となる事情が大きいものでない限り、慰謝料額が多くなるのは難しいように思います。

 これに対して、熟年離婚の場合、配偶者(妻)が専業主婦など、収入がないか、職に就いていてもパートのことが多いのではないかと思います。そうなると、離婚をしても長い間職に就いていない・年齢的なこともあって再就職先を探すことはかなり困難と思います。ですから「離婚後の経済状況」への配慮は特に必要になってくるでしょう。

 ですので、離婚原因としては、違法性の程度が必ずしも大きいとはいえないケースでも、離婚後の生活に支障をきたさないようにとの趣旨で慰謝料額が決められる場合があります。

 慰謝料は裁判官の裁量の幅が広いため、調整弁のような形で離婚後の生活といった将来的なところも加味して判決の至れば金額を決めることになります。

 なお、離婚後の経済状況への配慮は財産分与のところで行われることもあります。すなわち、財産分与は結婚生活の中で築き上げた財産の清算という形で行われるのが一般です。しかし、それ以外にも離婚後の生活に支障がないように、という意味で扶養的な要素も合わせ持っています。そのため、財産分与のところでも離婚後に収入がない・あるいは少ない配偶者への配慮が働くケースがあるのです。

 ただし、このような扶養的な意味での財産分与は、清算的な意味での財産分与や離婚に伴う慰謝料がある程度の金額になるときは、離婚後の生活がそれで成り立ちうるといえるので、認められにくいようです。ですから、離婚に伴う慰謝料と、財産分与とで二重に離婚後の経済状況への配慮がなされるわけではないことに注意が必要です。

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