法律のいろは

再婚の法律問題(その⑧)

2013年11月28日 更新 

 離婚するにあたって、これまで夫婦で築き上げた財産を清算し,新たなスタートを切る、それが財産分与ということになります。

 では、将来的に再婚をする場合に備えて、財産分与のときに気を付けておいた方がよいことがあるでしょうか。

 これまでに別項でお話ししたように、財産分与には大きく分けて3種類あります。復習を兼ねて、改めてご説明しましょう。

 ひとつは、出だしでお話ししたような財産分与、すなわち結婚後から離婚(正確には別居まで)に至るまでに夫婦で築き上げた財産を名義のいかんによらず合算して原則折半するものです。「清算的財産分与」といわれるものです。

 二つ目が、離婚後とくに生活に困る配偶者(一般的には妻側になると思いますが)の、今後の生活を保障するために分与するものです。これは「扶養的財産分与」といわれるものになります。

 三つ目は、離婚に至る原因が一方にある場合、財産を清算するにあたってもその離婚に至る原因を作った側の責任を踏まえて、財産を分与するというものです。「慰謝料的財産分与」といいます。

 このうち、三つ目の「慰謝料的財産分与」については、通常は離婚を至る原因を作った者に対して、慰謝料請求を別途行うと思いますので、財産分与にあたっても考慮する必要性が低いことが多いでしょう。

 また「再婚」との関係でみても、そもそも先の結婚生活の破たん原因を作ったものの責任が再婚により低下する訳ではないし、大抵は慰謝料請求を行っているでしょうから、通常のケースと異なる問題が生じるというわけではないでしょう。

 それから、一つ目の「清算的財産分与」についても、離婚に伴い夫婦の財産を半分に分けるだけですから、再婚により影響を受けることはありません。

 これに対して、「再婚」ということを考えた場合、一番問題になりうるのが「扶養的財産分与」です。というのも、先に述べたように「扶養的財産分与」は、離婚により経済力が弱い配偶者の生活が困らないようにとの意味で、分与する財産を多めにするというものです。

 ですから、再婚をすることで、再婚相手に養ってもらうことができ、経済的に困らないという事情の変化が出てくれば、離婚当初決めていた財産分与の額ではなく、もう少し少なくてもいいのではないかという話になるでしょう。

 もっとも、養育費のように、継続的に一定額を分割で給付するケースと異なり、財産分与については、一括か、そんなに細かくない分割額での支払にしていると思いますので、現実的には一度決めた財産分与の額をのちちの「再婚」という事情により変更することは難しいのではないかと思います。

 ただ、再婚後は本来再婚相手の扶養に入るため、そうであるにもかかわらず、再婚をしたことを相手方に伝えず扶養的財産分与を受けていた場合、再婚後受け取ったものについては、支払をした元配偶者から返還請求を受ける可能性がありますので、注意が必要です。

メールフォームもしくはお電話で、お問い合わせ・相談日時の予約をお願いします

早くから弁護士のサポートを得ることで、解決できることがたくさんあります。後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。誠実に対応させていただきます。