法律のいろは

熟年離婚の際にポイントとなることとは?(その⑤)

2013年11月26日 更新 

 前回、前々回と熟年離婚をすることによる、慰謝料額を考慮する際の要素と、慰謝料額への影響などについてお話ししました。

 今回は、熟年離婚と財産分与についてお話しします。

 熟年離婚ということになると、結婚期間が長くなるため、その分夫婦で築き上げた財産もそれなりになることが多いでしょう。

 そのため、熟年離婚で思い浮かぶ問題点の大きなものとしては、やはり財産分与を挙げざるを得ません。

 財産分与については、既に別項目でお話ししていますが(「離婚の際の財産分与について」「離婚と財産分与」)、熟年離婚となると先に述べたように結婚生活の期間も長くなることから、その間に形成される資産が出てきます。

 財産分与の対象財産の有無・対象財産の評価額をどうするかという点については、熟年離婚にかかわらず、通常の場合と同じように考えていくことになります。

 もっとも、場合によっては、資産それぞれについて、夫婦それぞれの貢献度が違うといった主張も出てくることでしょう。そのようなときには、時系列により分与対象財産がいつ形成されたか、それぞれの寄与・貢献の程度などを表のような形でまとめた方が分かりやすいこともあるでしょう。

 また、婚姻後に離婚までに夫婦のそれぞれが相続や贈与によって取得した財産は、夫または妻の特有財産になるため、財産分与の対象にはならないのが一般です。

 それでは、夫婦の一方が、結婚後他方が相続により取得した不動産の家賃の取り立てや修補といった管理業務を行っていたときはどのように考えればよいのでしょうか?

 このような場合でも、先に述べたように考えれば一方が相続により取得した不動産である以上、その者の特有財産となり、原則として財産分与の対象にはなりません。

 そうはいっても長年にわたって他方がその不動産の維持・管理を行っていたときは、それにより相続財産の価値を維持できたといえますからそのような他方の貢献をまったく考慮しないのはバランスに欠くといえるでしょう。

 ですから、実務ではそのような他方の貢献を財産分与の中で考慮することもあります。ただ、どのように評価するかという点については、あくまでも相続財産は財産分与の対象にならない、ということもあって一概にはいえないようです。

 どちらかといえば、結婚時に取得した財産の清算、つまり清算的財産分与という視点でとらえると難しいでしょう。おそらくは、離婚後、管理を行っていた者が生活に困らないように、という視点から扶養的財産分与として評価する方が自然ではないかと思います。

 

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