法律のいろは

協議離婚について(その⑩)

2014年1月7日 更新 

 協議離婚という形(話合いで離婚の決着をつけた場合)に,決めたことが守られるかきになるのはないでしょうか,ということは前回も触れました。前回は,主に養育費を念頭にお金に関して,離婚協議書に定めた事項が守られない場合の対応について触れました。今回は,お金以外の話として親権を持たない親と子供との面会交流の話について触れたいと思います。

 

 前回の養育費に関しては,公正証書に支払うことを記載(厳密には支払いをしない場合には強制執行(差押え)に服するとの記載も必要)すれば,給与や預金口座などの差押えを裁判をすることなくできるという話をしました。その際に,差し押さえるべき財産は差し押さえる側で探さないといけない等のリスクの話も触れました。同じことは,慰謝料などお金の話全般に当てはまります。継続的に支払うケースが多いという点に養育費の特徴があります。

 

 これに対して,親権のない親と子供との面会交流のようなお金が内容でない話では話が変わってきます。昨年調停や裁判で決まったことを間接的に強制できるための条件についての裁判例がありました。ここで書かれていることは,協議離婚の場合は当てはまらない点には注意が必要です。よく,公正証書で約束したことを定めておけば強制できるのではないかという話を聞くことがありますが,結論から言えば,強制することはできません。

 先ほども触れたように,公正証書を使った裁判所を使うことなく強制することができるのは,お金の支払いを内容とする約束についてだけです。支払いがない場合は差押え等強制執行に服するという言葉を入れて,差押え等を裁判所を通すことなくすることができるのです。簡単に言えば,他の人に対する強制をするには原則裁判所を通じて手続きをしないといけないけれども,お金の支払いを内容とする場合の公正証書が例外であるということです。

 もちろん,人間自ら約束したことを破るには心理的な抵抗があるという点はあります。ただ,あくまでもその意味での歯止めをかけておくというのが,協議離婚書における面会交流などお金を内容としない約束の意味であると理解しておいた方がいいかと思われます。

 

 こういったことをよく考えた上で,協議離婚書の作成をする必要はあるかと思われます。

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