法律のいろは

 昨日は,認知の意味と認知無効に関する簡単な話を触れました。今回はその続きです。

 

 昨日も触れましたように,子供(認知をされる側)その他利害関係人は,認知した事の反対事実(実際には血縁がないこと」を主張して認知の無効を求めることができます、ただし,これはただ単に認知が無効であるといえばいいものではなく,裁判で実際には血縁がないことを証明して判決をもらう必要があります。簡単に言えば,実際には血縁がない(認知のなされた親子の間)ということを裁判所に認めてもらい,認知が無効であるとの判決が出されて,はじめて認知が無効になるということです。

 普通,無効なものは最初から意味がない気がしますが,法律上の親子関係という重要な問題(子供を養うとか相続とか国籍の問題すら関わってきます)なので,無効と言えるかの判断があってのことになります。注意すべき点は,無効となる原因としては,これまでは実際には血縁がない場合をあげましたが,厳密には他に自分の意思にもとづかず認知をした場合も含まれます。分かりにくいですが,実際に血縁があっても認知が無効になる場合がありうる(例外ですけど)ということです。

 

 ところで,なぜ血縁がないのに認知をするということが起こり得るのでしょうか?これには色々な背景があるとされています(実際,昨日出された最高裁の判断の中にも色々な背景があるとの記載があります)。婚外子がいる女性と結婚する前提として認知をする例も結構あるとの指摘もなされているところです。

 

 先ほども触れたように,認知は法律的な親子関係を作るものですから,当然相続に関わってきます。相続においてお金の問題が関わって親子関係が実際にあるのか(相続人になるのか)が問題になることがあります。認知がされていた場合に,認知が無効であれば,子供は相続人で亡くなりますので,相続人として財産を受け継ぐのかという前提として認知が無効かが問題になるケースもあります。

 この場合も,認知が無効かを裁判で相続の問題とは別に行う必要があるのかは,割と大きな問題となりえます。なぜなら,別に裁判を行うのはかなり面倒になるからです。一般には,別の裁判にはなるものの親子関係が存在するかどうかを確認する裁判で十分とされています。先決問題としてということですが,結局は別(完全に別というわけではありませんが)の裁判をすること自体は必要ではあります。

 

 このような認知の無効に関しての前座となる話ですが,実際昨日出された判断がどのようなものかは次回(次々回)に触れたいと思います。
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