法律のいろは

裁判離婚について(その⑤)

2014年1月26日 更新 

 離婚について、裁判所での話し合い(調停)では決着がつかず、裁判にまで至ったケースで、当初離婚したくないといっていた相手方が、離婚前提で進めてもいい、こちらからも離婚慰謝料や財産分与など金銭的な請求や親権や養育費の主張をしたいと考えが変わることがあります。

 その場合、相手方はどのような方法で離婚を求めていくことになるでしょうか。

 離婚を求めるにあたっては、離婚原因(離婚理由)が必要であることは以前お話したとおりですが、当初から離婚を求めている当事者と、あとから離婚を求めるに至った当事者がそれぞれ主張する離婚原因(離婚理由)は通常別であることが多いと思います。

 ですので、離婚を求めるに至った側も、改めて離婚の裁判を起こす(別訴の提起)必要があるように思えます。

 ただ、現実には、離婚を主張する当事者が同じであることから、当初離婚を求めてきた当事者の起こしてきた裁判の中で、相手方も離婚を請求する(「反訴」といいます)によるのが、夫婦間の紛争を一体的に解決するにあたっては適切といえます。

 ですから、最初は離婚に反対していた当事者も、離婚を求めてくる側の主張をみて、これは離婚が認められそうかなという状況に至れば、同じ裁判の中で離婚の反訴を起こすことが一般です。

 これは、通常の民事裁判では、当初起こされている裁判とその後起こす反訴の請求が、主な事実関係などが共通していなければならない、などといった要件があるのと大きく異なるところです。

 ただ、裁判官によっては、紛争がややこしくなるのを避けるため、離婚の反訴を起こす側から新たに慰謝料を求める場合に限り、反訴を認めることもあるようです。

 また、通常の民事裁判では、地方裁判所あるいは簡易裁判所での判決が出たあと、控訴をした(あるいはされた)ときに、反訴をするには、相手方の同意が必要とされています。これは、本来地方裁判所・あるいは簡易裁判所での審理のとき、反訴していれば、反訴の内容もあわせて、地方裁判所・簡易裁判所で判断されていたにもかかわらず、控訴審でいきなり反訴されると、反訴されたものについては、控訴審・上告審の2回しか審理してもらえない、そういったリスクが反訴を申し立てられた側に生じるからです。

 しかし、離婚裁判の場合には、控訴審ではじめて離婚の反訴をしてきた場合でも、反訴された側の同意はいらないとされています。それだけ、夫婦の間の紛争をなるべく一体的に解決すべき、と考えているからといえます。

 さらに、離婚裁判の判決が確定したあとは、それまでに請求や請求の理由を変えて主張できた事実により、同じ当事者の関係について反訴で主張できたことを主張せずに、別訴を起こすことはできないとされている点にも注意が必要です。

 離婚の裁判が行われている間には、反訴がわりと自由にできるのに対して、いったん判決が確定してしまうと、もはや請求・主張できないとすることで、夫婦の問題はなるべく同じ手続きの中で話をつけてしまう、逆にその後の蒸し返しは認めない、というスタンスをとっているのです。

 

 

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