法律のいろは

裁判離婚について(その⑨)

2014年2月13日 更新 

 離婚調停で話がもつれて話がつかず、離婚裁判へ…という場合、イメージとして思い浮かぶケースの一つとして、慰謝料などの金額に食い違いがあるときが挙げられるでしょう。

 そもそも、離婚調停は、これまでもお話しましたように、家庭裁判所の手続きを使って、結局は夫婦が話し合いをするものですから、慰謝料などの金額について開きはあり過ぎれば、当然話し合いをつけるのは難しいと思います。

 特に慰謝料については、あとで述べますように、色々な事情を加味して判断するものですから、広く使われている、婚姻費用・養育費算定表のような形でおおよその相場を決めるのは非常に難しいものです。

 調停でも、裁判の際に判断するにあたって考慮される要素を当事者から聞き取り、調停委員会で話し合いをしておおよその金額を提示して、説得することもあるようですが、結局のところ主張・証拠によって厳密な形で事実がどうか認定していくのではないことから限界があります。

 特に慰謝料を請求する側が証拠を押さえていて、争いが長期化しても構わないと思っていると、調停委員による説得も難しいでしょう。

 慰謝料以外の、財産分与や他の金銭的やりとり(親族間ではよくあります・離婚時に清算が必要なケースも見られます)すべてをまとめて解決を図る必要があれば、裁判だと特に親族間のお金のやりとりは別での処理になるため、すべて一度に解決できる方がかえって利益になると説得し、金銭的な調整を図ることもあるでしょう。それでも難しければ、やはり裁判で厳密に当事者がそれぞれ主張を尽くし、証拠を出し合っていくしかないでしょう。

 離婚裁判で慰謝料が問題になった場合、考慮される要素としては、以前別の項目でもお話していると思いますが、以下のようなことが挙げられます。

 ○結婚生活が破たんした原因がどちらにあるか?

  破たんに至った原因として、一方の暴力(DV)・浮気、不貞行為(不倫)があれば、その原因を作った側に責任があるということになります。

 ただ、よく熟年離婚などで見られますが、長い結婚生活の中で暴力や浮気などがあったとしても、その時々では何とか修復し、それ以外の事情(性格の不一致や、親族などとの確執など)が積み重なり、別居に至り、結局破たんする場合もあります。

 そういったケースでは、一つの出来事がきっかけで婚姻生活が破たんしたというより、いくつかの出来事の積み重ねが原因で、しかもどちらが原因ともいえないことがよくあります。

 また、別の項目で触れましたが、破たんに至るはっきりした原因が双方にあることもあります。このような場合は、結局のところ破たんに至った主な原因はどちらにあるかをよく見極める必要があります。

 次回に続きます。

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