法律のいろは

不貞・不倫と離婚請求(補足)

2014年2月14日 更新 

 一般に,不倫・不貞をした側からの離婚請求は原則として認められない(あるいは高いハードルが課せられる)というのが裁判例に関する理解です。多くは,不倫・不貞があった場合には,そこから夫婦関係が壊れている=離婚原因を作り出したのだから,離婚請求は認めるのは信義に反するという事情があります。

 それでは,不倫・不貞があったとしても,そのことを相手方配偶者が許して夫婦関係が一度修復したあとで,別に離婚原因ができた場合はどうなるのでしょうか?この場合,離婚の原因は色々と考えられますが,再度夫婦関係が悪化したことがよくあるのではないでしょうか?さらに言えば,一度生まれた不信感が再度大きくなったこともあるかもしれません。

 ここでは,一度不倫・不貞で壊れた夫婦関係が修復しているのですから,不倫・不貞が直接の夫婦関係悪化の原因とはいいにくいところです。もちろん,不倫・不貞で一度できた不信感が遠い原因である場合には,それはおかしいという考えも出てくるかもしれません。

 この場合に問題となるのは,一度不倫・不貞を許した側が不倫・不貞を理由に離婚請求が許されないと主張することは許されるのかという点です。この点について一つ裁判例を紹介しておきます。

 問題となったのは,妻の方が一度不倫・不貞をした夫婦についてです。夫は妻の不倫・不貞をゆるし,その後は数か月夫婦関係も再開したものの,夫が過去の不倫不貞への不信を理由とした言動を行い,そこから妻が夫への不信感を持ったというケースです。結果として,夫婦は別居し連絡も取らなくなったのですが,妻から夫に対して離婚御請求を行いました。夫は離婚には応じないという態度であったようです。

 

 このケースについて,裁判所の判断(高裁)は

 前提として,一度不倫・不貞を許した側が不倫・不貞を理由として離婚は許されないとするのは信義に反する,と述べています。そのうえで,先ほどの事情から見ても信義に反する上に,夫婦の関係は修復はできないとして,離婚を認めています。

 

 注意すべきなのは,問題となった不倫・不貞は過去存在しただけで,不倫や不貞はその後はないということです。ですから,不倫・不貞は過去の許したものしかなく,夫婦関係はその後修復すらしているといえます。この場合は,一度許したものを蒸し返すのは信義に反していますし,破綻の直接の原因は不倫・不貞とは必ずしも言いにくいのではないかと思われます。

 

 あくまでこうした場合にあたるかはケースバイケースですので,一度夫婦でやり直すという話が出ても全くやり直せなかった(に近い場合)や,再度不倫・不貞をしたケースには当てはまらない点には注意が必要です。

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