法律のいろは

離婚後の養育費(その25)

2014年2月19日 更新 

 以前,離婚した後の子どもの養育費は成人(20歳)に達した時までが原則であるという話をしました。大学卒業まで伸ばしたい場合には,基本的には相手方配偶者の同意が必要という点も触れました。

 ただ,親子間には法律上扶養義務というものがあります。これは,大ざっぱに言えば,生活に困っている場合には援助をする義務ということができます。要は,困っている場合には生活費の援助をする必要があるということです。子どもが成人後に,扶養義務を根拠に親権を持たない方の親に生活費を請求することはできるのでしょうか?

 

 こうしたケースについて,ここ数年の中での裁判所の判断があります。問題になったケースは,養育費が20歳までと決まった後,大学に進学した子供から父親(親権を持たなかった親)に対して,扶養義務を根拠に生活費の請求をしたもののようです。

 このケースでは,裁判所の判断に至る中で,父親側から過去のものは払わないが,毎月3万円なら払ってもいいと述べていた事情があります。

 裁判所は,一般論として

 ①成人に達した場合は自助努力が原則である

 ②援助といっても,援助をする側に余力がある範囲になる

 ③援助の範囲も大学にかかる費用全体にはならない

 ④4年制大学への進学率が高まっている現状では,子どもが勉学に励むために学費などの不足が出て来た場合には,その不足分を補うために,どの程度の援助が必要かは

 ・不足が生じた理由や不足額 ・奨学金やアルバイトの状況 ・大学進学への子どもや親の意向

 ・親の資力 ・親の再婚の有無 ・その他

 の色々な事情を考慮する

 と述べています。

 

 そのうえで,上で出て来た色々な事情を考慮しています。そこでは,子どもの側にこれ以上のアルバイトは難しいこと・同居している親権を取った親の資力や援助を求められている親の資力・援助を求められている親の進学への意向や進学を予測できたか等を考慮して,援助自体は必要と判断しています。

 問題は,どこまでの援助が必要かという点ですが,この裁判例では,先ほど述べた援助を求められている親が月3万円までなら援助をしてもいいと述べていた点を重視して,その金額を援助すべきと判断しています。

 

 結局のところ,このケースで援助はできないと援助を求められた側の親が言っていたなら,どうなったのかはmン代点として残ります。早期の解決のために,認めている額は払うべきという判断なのか・認めた額までしか払う必要がないかという点ですが,前者の要素がある程度あるのではないかと思われます。

 ですから,払わないと言ったから支払いを逃れるかというと,必ずしもそうならない可能性がある点には注意が必要でしょう。

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