法律のいろは

離婚と財産分与(その㉜)

2014年2月21日 更新 

 これから本格的に離婚調停や審判で財産分与についての話をすることになるものの、相手方には多額の預金があり、引き出す可能性がある…そんな場合には、相手方名義の預金をもきちんと財産分与対象財産として俎上に載せるため、どのようにすればよいでしょうか?

 この点、いくら相手方名義の預金が財産分与対象財産になる可能性が高いとはいえ、いきなり銀行に相手方へ払い戻ししないよう、預金口座の凍結を求めても、銀行は応じることはできません。というのも、銀行と相手方とは消費寄託という契約が成立しています。ですから、支払時期が来て相手方が払い戻しを求めてくれば、応じなければなりません。もし応じなかった場合には、債務不履行責任を問われることになるからです。

 もっとも、そうはいっても離婚成立までに時間がかかりそうであれば、成立を待って財産分与と思っているうちに、当の預金が消えてなくなってしまうおそれがある、そんな場合には、財産分与がきちんとおこなわれるよう、家庭裁判所に予め預金口座を押さえてもらう手続きをとることが考えられます(保全手続き)。

 この手続きを行うのであれば、そもそも離婚理由があることに加え、財産分与対象となる財産があること、どのくらいの価値があるのか、が明らかにできる資料をつけて申立をする必要があります。

 また、すでに離婚をしてしまったときでも、離婚成立後2年以内であれば財産分与を求める調停・審判の申立ができます。  

 ですので、離婚については成立していることがわかる資料(除籍謄本など)でよいと思われますが、それに加えて、さきほどと同様、分与対象財産の存在・金額がわかる資料をつけて申立を行う必要があります。

 こういった裁判所のいわばお墨付きである、仮差押命令をとって、銀行にそのことが送達されれば、銀行はその仮差押命令にのっとり、預金口座が相手方に払い戻されないように手続きをとってくれることになります。

 実際には財産分与対象財産がすぐに消えてなくなりそうな事態は多くないと思いますが、たとえば相手方の勤務していた会社から退職金がまとめて支給されたが、相手方が引き出して使ってしまいそうな場合などには利用を検討するとよいと思います。

 

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