法律のいろは

離婚後に身に覚えがない金融機関から保証債務の支払を求められたときは?(その②)

2014年2月24日 更新 

 前回は、離婚したあとに自分の意思によらず、勝手に一方の配偶者に保証契約を締結されていたような場合、他方の配偶者は、保証契約に基づく支払いを求めてきた金融機関に、自分には身に覚えがないから支払わない、といえるかどうかについてお話ししました。

 今回はその続きです。

 名前を勝手に使われた配偶者が窓口などに行き、担当者と直接やりとりしておらず、筆跡も異なっている、加えて契約締結後に金融機関が保証人になった(元)配偶者に確認の連絡をしていないといった場合には、保証契約は知らないと争いうるとお話ししたと思います。

 ただ、夫婦の場合、取引の相手方である金融機関などの第三者を保護するため、「日常の家事」の範囲内と金融機関が信じる正当な理由があるといえれば、当該行為を行っていない他方の配偶者も連帯して責任を負うことになる可能性があります。そのため、たとえ名前を使われたとはいえ、結婚期間中の契約であれば、他方の(元)配偶者は支払を拒めなくなるように思えます。

 この、「日常の家事」にあたるものとしては、以前別の項目でもお話しましたが、普段の生活にあたって必要になる食料や衣料などの購入に関する費用、医療や子どもの養育・教育費といった、夫婦・未成年の子どもを含めた生活にあたって通常必要とされる一切のものを含みます。

 となると、たとえば生活費にあてるための借入(数十万円程度)のために、他方の配偶者を保証人とする契約をし、現にそれを生活費にあてたなどというときは、日常の家事の範囲内といえる可能性が出てくるため、保証契約はしらないといって拒めなくなるおそれがあります。

 他方、比較的高額な車のローンや、住宅ローンなどといった契約について、他方の配偶者を保証人としていた場合には、普段もそのような取引を夫婦が行っているといえるような事情が特にない限りは、「日常の家事」の範囲内の行為と信頼するに正当な理由があるというのは難しく、結果的には金融機関から支払を求められても拒めることが多いでしょう。

 

 

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