法律のいろは

離婚と財産分与(その㉛)

2014年4月29日 更新 

 これまで財産分与については何度も取り上げてきました。そして、財産分与の対象財産としては、結婚中に夫婦が共同して形成した資産であり、名義が夫婦一方となっていても、実質的には結婚期間中夫婦が協力して形成したといえれば、財産分与の対象になるとお話ししました。

 それでは、会社名義になっている資産については、一切財産分与の対象にならないのでしょうか。

 会社の場合は、夫婦とは別の組織に属する財産(法人の財産)となるため、個人の財産ではありません。したがって、財産分与の対象財産にならないとされるのが一般です。

 ただ、会社に属している財産形成に注目すると、いわゆる同族会社名義の資産であったり、個人事業と同じとみることができる場合で、なおかつその経営に双方が携わり共同で資産形成をしたといいうるときがあろうかと思います。このようなときには、会社名義の資産であっても、実質的には夫婦で共同して形成した財産とみて、分与対象になると考える方がよいこともあります。

 裁判例でも、上記と同じような考え方により、会社名義の資産も財産分与の対象になると判断したものがあります(夫婦で複数の会社を経営しており、会社の主要な事業は夫、経理など事務を妻が行っていたり子どもらが役員になっていたというケース)。

 また、夫婦の一方、ないしは双方が会社の役員だったりするときは、会社の株式や持分をもっているのが一般だと思われますので、その株式ないし持分が価値あるものであれば、財産分与の対象になることがあります。

 この場合の価値の評価の仕方については、以前財産分与の別の項目でお話ししたところだと思いますが、上場会社でない場合が通常だと思いますので、財産価値をどう評価するかというのは結構難しい問題になると思われます。場合によっては公認会計士などの専門家に評価してもらう必要が出てくるでしょう。

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