法律のいろは

親子関係をめぐる最高裁の判決その①

2014年7月20日 更新 

 数日前に,DNA鑑定と親子関係について3件の最高裁判所の判断が出ていました。判決文だけでどのような背景事情があった課までは定かではありませんが,少し触れてみたいと思います。背景事情などが分からない点もありますので,正確性に欠ける点はありますが,ご了解ください。

 

 3件の裁判例のうち少なくとも2件は,結婚している夫婦間の間に生まれた子供が実は血縁上は父親の子どもではなかった場合に,子供(母親が代理人として)親子関係が存在しないことの確認を求めたものです。この2件は,高裁まで親子関係がないことを認める判決が出ていたものです。これに対して,もう1件はおそらく認めない判決が出ていたものと思われます。

 

 血縁上親子関係がないのに,法律上親子関係になるのはおかしいのでは?という考えが浮かんでくるかもしれません。法律上,こうした考えのとおりであれば,この裁判で問題となったことは出てこないように思われます。問題のもととなるのは,嫡出推定制度というものの存在です。これは,結婚している夫婦の間に生まれた子供は,夫婦の間の子どもと法律上扱うもので,否定するには嫡出否認の訴えという裁判を起こす必要があります。この裁判は,父親とされる人=夫が,子供が生まれたことを知ってから1年以内に起こす必要があるとされています。

 そのため,子供が生まれたことを知ってから1年経過した場合や父親とされる人が嫡出否認の訴えを起こさない場合には,親子関係は否定できないことになりかねません。先ほど挙げた裁判例で問題となったのは,DNA鑑定で親子関係が否定されるようなケースまで,こうした制度をこうした場合まで貫くのかどうかという点があるように思われます。

 

 結論から言えば,最高裁の結論は,嫡出推定の精度はこうした場合にも及ぶから嫡出否認の訴えという方法以外では親子関係を否定できない⇒親子関係が存在しないことの確認を求める方法自体とることはできないというものです。ちなみに,これは2件の親子関係がないことを認めた判断をひっくり返す際に述べられたことです。もう1件については,嫡出推定制度は合理的な制度だから憲法違反にあたらない(これは,こうした制度が憲法違反だからという申し立てを退けるためのものと思われます)と述べています。

 

 

 中々難しい話ですが,反対意見も存在し,結論と比較すると色々と問題点が明らかになるような気がします。次回に触れたいと思います。続きます。

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