法律のいろは

婚姻費用と住居費(その①)

2014年8月17日 更新 

 別居をしている夫婦について,

  ①夫が出て行って,今も住宅ローンを払っている家に妻と子供が住んでいる

  ②妻が子供を連れて出て行って,実家で家賃を払わずに生活している

 

 といったケースは少なくないかもしれません。もちろん,この他にも色々なケースが考えられますが,とりあえず①と②のような場合に,生活費(婚姻費用)の負担がどうなるかについて,触れていきたいと思います。

 

 まず,前提として,婚姻費用(生活費)は夫婦のうち収入の多い方が少ない方に対して支払いをしないといけません。金額は,収入額・養育監護をしている子供の数等によって変わってきます。算定表や算定式によって(色々と問題は指摘されていますが),算定されているのが今の家庭裁判所のやり方のように思われます。

 以前も触れましたが,算定表や算定式の考え方では,婚姻費用(生活費)を貰う側も払う側も,統計資料に基づいていはしますが(実際の負担額とは関係ない点はあります),標準的とされる住居費を負担していることが前提となります。これに対して,①も②も仮に妻側が婚姻費用(生活費)を貰う側である場合には,住居費を負担していないために,算定表や算定式で出てくる金額をそのままもらっていいのかが問題として出てきます。

 

 ①についてですが,先ほどの前提でいけば,夫側としては住宅ローンを負担しているのだから,その金額を算定表や算定式から計算したものから全額差し引くべきだと主張したくなっていくところです。逆に妻側からすれば,あくまでも家という財産を得るためのお金だから,住宅ローンは一切差し引くべきではないと反論してみたくなるところです。

 ここで,どちらの言い分が通るのか・通らないのかが問題になっていきます。①の場合に言えるのは,先ほど触れたように妻側は家賃を負担せずに(元々自宅だから当然かもしれません),家に住んでいるのは言えると思います。一方で,住宅ローンは元々は家を買うためのお金についてローンを組んだのですから,家賃とは違いますし,あくまでも家という財産を手に入れるためのお金であるのは間違いありません。これに対しては,住宅ローンを払わないと家に住めなくなるという反論がありそうですが,これはあくまでもローンを払わないと家についているだろう抵当権を実行されて売約されるなど,あくまでも家賃とは違う話に過ぎません。

 

 ですから,双方の言い分をそのまま通すわけにはいかないことになります。ということは,ある程度の金額は調整されるべきということになります。問題はその金額はどの程度かという点です。この点については次回に触れたいと思います。

 次回に続きます。

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