法律のいろは

離婚後の子どもの引き渡し

2014年9月10日 更新 

 離婚後に子供の引き渡しを求める場合としては

 ①親権者となった側から,親権者にならなかった親に対して引き渡しを求めるケース

 ②親権者とはならなかった側から,親権者となった親に対して引き渡しを求めるケース

 が大きくは考えられます(細かい話は置いておきます)。

 

 まず,①から触れていきます。この場合のとることができる方法としては

 ア 子供の引き渡しを求める調停あるいは審判を家庭裁判所に求める

 イ 人身保護手続きの申し立てを裁判所に申し立てる

 ことが考えられます。

 

 アのほうがよく取られる方法ではないかと思われますが,「子供の福祉」の観点から判断されることになります。「子供の福祉」とは,既に他のコラムでも取り上げたところではありますが,簡単に触れれば,

 ①監護養育の始まりが違法なものではないか⇒違法な連れ去りではないかということ

 ②これまで・今の監護の状況(親と子の結びつき)

 等の要素をそれぞれの親の事情や子供の事情から考えていくことになります。アの方法による場合には,児童心理などの専門家とされる家庭裁判所調査官の関与もありうるところです。

 

 イについては,法律上の要件の話(子供を違法に拘しているかどうか)にはなりますが,裁判例上は基本的には親権(監護権)があるかどうかで違法な拘束かどうかが決まる傾向にあります。つまり,原則として親権がある側からの請求は認められる傾向であるということです。

 となると,親権がある側からの手続きとしてはイの方がいいのではないかという気もするところですが,「子供の福祉」(子供にとって何がいいのか)を丁寧に判断することになるアの手続きのほうによるべきだと一般的には言われているようです。ちなみに,協議離婚の場合には夫婦だけの話し合いで決めるケースも多々あり,その中では子供のためというより夫婦それぞれの都合で親権を決めるケースもあるから,特にアの方法が良いのではないかといわれています。

 

 これに対し,親権者とならなかった親から親権者となった親に対する子供の引き渡しの請求はどうなるのでしょうか?先ほどの話からは,人身保護手続きに基づく請求はハードルが高くなるように思われます。この点の詳細は次回に触れたいと思います。

メールフォームもしくはお電話で、お問い合わせ・相談日時の予約をお願いします

早くから弁護士のサポートを得ることで、解決できることがたくさんあります。後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。誠実に対応させていただきます。